執筆:福光潤 公開:2006/11/14 コメント(2件) |
邦題
ドリトル先生航海記
ふりがな
どりとるせんせいこうかいき
英題
The Voyages of Doctor Dolittle
発音
£ぁVォいゆじっぞvドっとぅドゥーリとお
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意味
The Voyages of | Doctor | Dolittle |
↓ | ↓ | ↓ |
~の航海記 | 医者への呼びかけ
=~先生 | ドリトル(人名)
(意味=ほとんど何もしない) |
⇒ 怠け者(?)のドリトル先生の航海記
⇒ 動物語が話せるドリトル先生の航海記!
⇒ ドリトル先生と愉快な動物たちが、海に漂うクモサル島へ航海! 有名な学者を救ったり、島の王様に選ばれたり、大カタツムリの殻に入って海の底を航行したり、そんな数々の不思議なワクワク冒険をまとめた物語!
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1922年/イギリス/本/小説、児童文学、冒険、動物、航海
- 著者:ヒュー・ロフティング(Hugh Lofting)
- 翻訳者:井伏鱒二(1952年)、河合祥一郎(2011年)
- 1923年、ニューベリー賞(Newbery Medal;世界初の児童文学賞)
- 上記作品の映画化
- 『ドリトル先生不思議な旅(Doctor Dolittle)』(1967年、アメリカ)
- 『ドクター・ドリトル(Doctor Dolittle)』(1998年、アメリカ、別表記:Dr. Dolittle、エディ・マーフィ(Eddie Murphy)主演)
- 『ドクター・ドリトル(Dolittle)』(2020年、アメリカ、ロバート・ダウニー・Jr.(Robert Downey Jr.)主演)
★『ドリトル先生航海記』の映画化作品『ドリトル先生不思議な旅』(1967年)の予告編動画(YouTube)
8秒目等で『The Voyages of Doctor Dolittle』の中の「Doctor Dolittle」が発音されます。
★『ドリトル先生航海記』の映画化作品『ドクター・ドリトル』(2020年)の予告編動画(YouTube)
コラム
- イギリスのお話なので、発音音声は英国風にしたつもりですが、やっぱりちょっと「little」の部分が「リロ」と米国風でしたね^^;。
- さて、英単語「voyage」が表す「旅」とは「海路の旅」が基本です。
また、宇宙旅行は船旅にたとえられることが普通で、NASAが1977年に打ち上げた探査機「Voyager 1」&「Voyager 2」や『スター・トレック/ヴォイジャー(Star Trek: Voyager)』など、宇宙船の名前にも「voyage」がよく使われています。
この「voyage」に「-s」をつけて「voyages」とすると「航海記」という書物のジャンルを指します。
「adventure」に「-s」をつけると「冒険談」となるように、いくつかのエピソードを集めた感じの意味合いですね。
- レックス・ハリソン(Rex Harrison)主演のミュージカル映画化作品『ドリトル先生不思議な旅(Doctor Dolittle)』(1967年)は原作の世界に忠実なので超オススメ!
エディ・マーフィ主演のアメリカ映画『ドクター・ドリトル(Doctor Dolittle)』(1998年)には原作の雰囲気がほとんど残っていなくて残念でしたが楽しい作品♪
2020年にはロバート・ダウニー・Jr.主演『ドクター・ドリトル(Dolittle)』も公開!
上記3作品ともアメリカ映画です。なぜ本国イギリスではメジャーな映画にならないんでしょうか…。
サントラ盤14曲目の『Doctor Dolittle』という曲では、「Dolittle」の部分を「ドゥ~~~~~リト♪」と、これでもかというほど引っぱって歌っています。日本語の「ドリトル」とは、かなり違う印象ですね♪
- それもそのはず、「little」は「ほとんど何も~ない」という意味。
「do」+「little」=ほとんど何もしない=怠け者
という意味になりますが、そんな本のタイトルじゃ子供たちの夢を叶えてあげられないじゃないか、君!
というわけかどうか知りませんが、岩波書店さんからのリクエストで、井伏鱒二先生が元の意味がバレずに発音しやすい日本語名として「ドリトル先生」と翻訳されたそうです。
(単にローマ字読み? というツッコミはナシです)
ドリトル先生の場合、研究に没頭してしまうと寝食忘れて他のことがまったく手につかなくなる。そんなわけで、
「do」+「little」=診察と研究以外は、ほとんど何もしない
と解釈できます。
(繰り返しますが、ドリトル先生の場合です)
- ミュージカル『マイ・フェア・レディ(My Fair Lady)』の主人公は、Eliza Doolittle(「o」が一つ多いです)という名で、確かに怠け者。
オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)主演の映画化作品(1964年)では、イライザ・ドゥーリトル(ドリトルではなく)という字幕表記がついていたと思います。
ちなみに、1967年版映画『ドリトル先生不思議な旅』の主演レックス・ハリソンは、『マイ・フェア・レディ』でイライザを世話する言語学者としてアカデミー賞を取りました。どちらの映画でも偶然、語学堪能な役ですね。
- ドリトル先生の肩書き「MD(医学博士)」は、ラテン語「Medicinae Doctor(=Doctor of Medicine)」の略です。
もともと獣医さんだったわけじゃなく、人間のお医者さんだったわけです。ところが、ある日、オウムのポリネシアに動物語を教えてもらったので、動物たちの病気を的確に治せるようになったという設定です。
- 最後に、井伏鱒二さんの世紀の名訳をご紹介します。
本作品に登場する「頭が前後に2つあるヤギのような動物」は、原文の英語で「pushmi-pullyu」と呼ばれています。
この英単語「pushmi-pullyu」を分解すると、
「push me(私を押す)」+「pull you(君を引く)」
となります。
もちろん著者ロフティングさんの造語ですが、さて、何という動物名にしましょうか?
あなたも「pushmi-pullyu」という架空の動物名をどんな日本語に訳せばいいか考えてみてください!
「pushmi-pullyu」⇒日本語訳を
「オシツオサレツ」
translated
by
井伏鱒二
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