執筆:福光潤 公開:2008/04/21 コメント(2件) |
邦題
サウンド・オブ・サイレンス
ふりがな
さうんどおぶさいれんす
英題
The Sounds of Silence
- 別表記:The Sound of Silence
発音
£ぁサうんずvサいれんす
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意味
The Sounds | of | Silence |
↓ | ↓ | ↓ |
いろんな音 | ~の | 静寂、沈黙 |
⇒ 静寂の音
⇒ (コミュニケーションに失敗したときに聞こえてくる)静寂の音
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1964年/アメリカ/音楽/フォーク、ロック、シンガーソングライター
- 作詞・作曲:ポール・サイモン(Paul Simon)
- 演奏・歌:サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)
- 2つのオリジナルアルバムに収録:
- アメリカ映画『卒業(The Graduate)』(1967年)の挿入歌
- このサウンドトラック盤には『The Sound of Silence』表記で収録
- アメリカ映画『ボビー(Bobby)』(2006年)の挿入歌
- 上記楽曲のカバー
★『サウンド・オブ・サイレンス』のライヴ動画(1967年)(YouTube)
3分3秒目で『The Sounds of Silence』が発音されます。
★ディスターブド(Disturbed)版『サウンド・オブ・サイレンス』のMV動画(YouTube)
3分50秒目で『The Sounds of Silence』が発音されます。
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コラム
- 『サウンド・オブ・サイレンス』の英題『The Sounds of Silence』は、当初、複数の「-s」がついた「Sounds」だった部分が、映画『卒業』(1967年)のサウンドトラックに使われた頃から「Sound」に切り替わっています。
JASRACのデータベースを調べてみても「Sound」でした。
当ページでは、手元にある2枚のオリジナルアルバムCDにあわせて、見慣れた「Sounds」をメイン表記として採用しました。
歌詞に目を向けると、「-s」なしの「The Sound of Silence」が3回出てきた後、ようやく最後に「-s」つきの「The Sounds of Silence」が登場します。
それまでに描写してきた「静寂の音」の集大成といったところですね。
- では、この曲が書かれた背景について。
1963年11月22日、アメリカ国民を落ちこませた事件、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)大統領暗殺が起こりました。
その後の1964年2月19日、この事件から受けたショックと悲しみをポール・サイモンがしたためて完成させたのが『The Sounds of Silence』。
人々が「黙祷(a moment of silence)」を捧げる中、真のコミュニケーションが欠如している現実を直視していたようです。
♪歌詞引用
People talking without speaking
People hearing without listening
People writing songs that voices never share
And no one dare
Disturb The Sound of Silence
みんな 話しているが 言葉をかわさない
みんな 聞いているが 耳を傾けない
みんな 歌を書いているが 声に出してもらえない
だれも わざわざ
静寂の音の中に 割って入ろうとするものはいない(飛訳:福光潤)
上記した意味、「(コミュニケーションに失敗したときに聞こえてくる)静寂の音」とは、ポール・サイモンの相方アート・ガーファンクルの解釈です。
英語の世界、特に、多くの人種が共存するアメリカでは「以心伝心」は通用しないコミュニケーション概念です。
それでも、的確な言葉で意思表示をしあわないことから誤解が生じ、世界では悲劇がたえないのでしょうね。
映画『ボビー(Bobby)』(2006年)では、JFKの弟であるロバート・F・ケネディ暗殺後のシーンで、この曲が流れます。
- さぁ!
ここから本題です!
このタイトル英語を初めて見たとき、どう思いましたか?
the sounds of silence
→ 静寂とは音がないことなのに、静寂の音ってなんじゃ?
英語で考えても、日本語で考えても、矛盾している表現。
そして、むちゃくちゃツッコミ甲斐のある表現。
実は、それを狙って、わざと互いに矛盾する言葉を組み合わせている表現。
日常それと気づかずに使ってしまっている矛盾表現。
などなど、このような表現を、
「oxymoron(オキシモロン or オクシモロン)」
と言います。
たとえば今回の「silence」を使うと、「deafening silence」→「耳をつんざくような沈黙」という直訳で、「ある意図をもった深い沈黙」のことを表現できます。
「living death」といえば「生き地獄」。
「自分は何も知らない」ということを自覚していたソクラテスは、「an awareness of one's own ignorance」=「無知の知」を重要視。
「jumbo shrimp」=「ジャンボサイズの小エビ」ってのもあります。
こんな意外性のあるオキシモロン節を使ったら、潜在的に周囲の注目を集めることになります。
なので、「オキシモロン」という言語学用語はマーケティング分野などでもよく使われます。
あなたも、身の回りの表現(日英問わず)からタイトル英語まで、オキシモロンを探してみてください!
- あ、あと、「シ~、静かに!」って言うように、本来「サ行」の音は静かな印象を与える発音です。
一方、『The Sounds of Silence』では、強く読む2つのアクセント箇所が「サ」となっています。
つまり、このタイトル英語『The Sounds of Silence』は、最大ボリュームで発音したとしても静かな印象を与える宿命なのですね。
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