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赤毛のアン

タイトル英語ビデオ

執筆:福光潤
公開:2005/05/07
コメント(3件)
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邦題

赤毛のアン

ふりがな

あかげのあん

英題

Anne of Green Gables

発音

ェアーのvぐRィーんいぼーず

英語例文へ 視聴ヘルプ 発音ヘルプ

意味

Anne of Green Gables
アン
(女性名)
~の 緑の 切妻屋根

⇒ 《グリーン・ゲーブルス(緑の切妻屋根)》に住む、アン(の物語)
詳しい英語解説は後半のコラムへ

作品

★『赤毛のアン』の予告編動画(YouTube)
slateを割るシーンは48秒目!


★『赤毛のアン』のレビュー動画(YouTube)
1分15秒目と2分27秒目で『Anne of Green Gables』が発音されます。

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コラム

  • 「gable」=「切妻屋根」で、下記のような形状の屋根です。

           ___
          /\  \
             ̄ ̄ ̄

    孤児アン・シャーリー(Anne Shirley)は、近所から「Green Gables」と呼ばれている、「緑の切妻屋根」が印象的なお家に住むことになります。


  • 「Gables」には、「-s」が入っています。切妻屋根は、ひとつじゃ足りなそうです。

    小説の舞台となるカナダのプリンスエドワード州のサイトで、アンの家、「Green Gables」の写真をチェックしてみましょう。確かに、緑の屋根2セット分が、ドッキングしていますね。


さらに、建築用語としては、「窓の上の装飾用切妻」や、「切妻壁」も指しますが、これらも上の写真中に見られます。緑の切妻が3種類あるので、「-s」付きなのかもしれません。


  • ここでは、印象的な場面のキーワード「slate(石板)」に注目! 昔の生徒がノート代わりに使っていた、ミニ黒板みたいなもので、いわゆるスレート(粘板岩)を、筆記用具として、加工したもの。

    それでは、「slate」の場面を、引用しながら、見てみましょう! 原文は著作権が消滅しているので、上記サイトから引用しますが、翻訳書の文章は著作権保護期間中のため、福光が適当に訳します。

    §引用 1/5
    Gilbert reached across the aisle, picked up the end of Anne's long red braid, held it out at arm's length and said in a piercing whisper:
    "Carrots! Carrots!"

    授業中に、ギルバート(Gilbert)少年が、アンの赤毛を引っ張り、「にんじん(頭)! にんじん(頭)!」と、からかいます。

    しかも、「1本で~も、にんじん♪」という昔の歌とは違い、「-s」付きの「Carrots!」だから、「にんじん」がいっぱい! 「にんじん特売! つかみ取り!」などと、言っているのか?

    会って間もないクラスメートに、こんな風にからかわれたら、すぐに反撃しないと、先々、いじめられる運命が待っています。

    §引用 2/5
    Then Anne looked at him with a vengeance!
    アンは、「キッ!」と見返しました(反撃モードに入った)。「vengeance」には「復讐、仕返し」という意味がありますが、「with a vengeance」は「激しく」ぐらいの意味でも使います。

    §引用 3/5
    She did more than look. She sprang to her feet, her bright fancies fallen into cureless ruin. She flashed one indignant glance at Gilbert from eyes whose angry sparkle was swiftly quenched in equally angry tears.
    難しいので、翻訳を放棄(笑)。この段落は、最後の「angry tears」だけ分かれば、よしとしよう!

    §引用 4/5
    "You mean, hateful boy!" she exclaimed passionately.
    "How dare you!"

    「なんて、意地悪なの! 嫌いっ!」
           +
    「よくも、からかってくれたわね!」

    「You mean」=「~っていう意味?」じゃなくて、「mean」は「卑劣な、意地悪な」という意味です。

    「How dare you!」は、映画などで、よく聞くフレーズ。「How dare you speak to me like that!」のことです。(私に向かって、よくもそんな口の利き方をしてくれるわね!)

    §引用 5/5
    And then--thwack!
    Anne had brought her slate down on Gilbert's head and cracked it--slate not head--clear across.

    バキッ!
    アンは、ギルバートの頭に、石板を振り下ろして、バキッ! と、真っ二つに、かち割ってしまった! かち割ったと言っても、頭の方でなく、石板の方(「--slate not head--」の部分)。


  • 「slate」と言えばアン! というほど、この場面が好きですが、ミーガン・フォローズ(Megan Follows)主演の映画にも、日本アニメの『世界名作劇場』にも、最初の方に登場するはず。レンタルで、復讐、いや復習してみてください。


  • それにしても、昔の邦題のセンスは素晴らしいです。邦題を『赤毛のアン』に決めたのは、村岡花子さんでしょうか? とにかく、言いやすい! 分かりやすい! 覚えやすい! の3拍子そろった、邦題ですね。

    と、以前にメルマガ配信した時点で書いたのですが、2014/07/10時点でのWikipediaによれば、下記の通り。

    邦題の『赤毛のアン』は、村岡花子が初邦訳を手掛けた時に付けられたものである。当初、村岡花子は『窓辺に倚る少女』という題を考えていたが、刊行する三笠書房の編集者・小池喜孝が『赤毛のアン』いう題を提案し、当時の社長の竹内道之助が花子にこれを伝えた。花子はこれを一旦断るが、これを聞いた花子の当時二十歳になる娘のみどりが『赤毛のアン』という題に賛同し、これを強く推した。このため花子は、みどりのような若い読者層の感覚に任せることにし、『赤毛のアン』という邦題を決定した。

  • 2008年放映の NHKテレビ語学講座ネタです。著者のモンゴメリによれば、主人公たちは、聖書ゆかりの人物から命名されたそうです。「マリラ」は「マリア」の変形名。「アン」は、マリアの母「アンナ」の変形名。「マシュー」は「マタイ」のこと。


  • あと、おもしろいのは、原題が緑(Green)のイメージで、邦題が赤(赤毛)のイメージ。

    補色の関係で、コントラストがたまりません! つい、タバスコの赤と緑を連想してしまって、ヨダレたらたら…(笑)。

    んで、日本語で「赤毛のアンちゃん」と言えば、かわいらしいイメージを浮かべがちです。

    でも、聖書的には「赤毛」=「裏切り者」らしいので、アンは自分の赤毛を嫌い、呪ってさえいたようですよ。

    また、英語圏で「赤毛」といえば、「気性の激しい人」というステレオタイプがあることも、記憶にとめておいてくださいね。

    ここらへんのトリビアは、『翻訳者はウソをつく!』 87~89ページにも書いておきました!


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ヒラメキ例文

The protagonist of the novel, Anne Shirley, always introduces herself as Anne with an "e".

この小説の主人公、アン・シャーリーのお決まりの自己紹介は、「e」の付く「Anne(アン)」よ、です。

英題発音へ 視聴ヘルプ 発音ヘルプ


関連タイトル



参考外部サイト

※禁断の英文法怪説 by 福光 ⇒

固有名詞(人名)+前置詞+形容詞+名詞(複数)
「Green Gables」で固有名詞(建物名)

※文法アレルギーの方の目に付かぬよう、コソコソ解説しています(^^;)

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コメント(3件)

福光潤 — 2006年 09月 27日, 08:09

マーク・トウェインは、『赤毛のアン』のリリース時にこんな言葉を寄せました。
“(不思議の国の)アリス以来の魅力的な少女(the dearest and most moving and most delightful child since the immortal Alice)”

Jizou — 2006年 09月 28日, 08:28

> それにしても、昔の邦題のセンスは素晴らしいです。
> 邦題を『赤毛のアン』に決めたのは、村岡花子さんでしょうか?
> とにかく、言いやすい! 分かりやすい! 覚えやすい!
> の3拍子そろった、邦題ですね。

原題が「Anne of Green Gables」で「G~ G~」なのに対して、
邦題が「あかげのあん」なのでこれまた「あ~ あ~」なんですよね。
(こういうのも韻を踏んでいるって言うんでしょうか、ちょっと違う?)
言いやすい&覚えやすいのはこの影響もあると思います。
意識的にそういう邦題を付けたんでしょうかね~?


Jizouさん、どうもありがとうございます! すばらしいっ!! 気づかなかったです…。えぇ、そうです、頭が同じ音でそろうのも「頭韻を踏む」と言いますね。
確かに、サイトの索引ページにタイトルを追加するとき気づいたんですが、原題は「A」、邦題は「あ」というふうに、いずれもトップバッターに来るので、人目につきやすいですね。
あと、言語学の授業で、ヒット商品名やヒット作品名は、「あ」で始まって、「ん」「う」「ー」で終わりやすい、というような法則を学んだ覚えがありますが、この邦題も典型例ですね。やはり計算ずくめの邦題か??
面白いコメントをありがとうございました!(福光潤 2006年 09月 29日, 05:31)

福光潤 — 2014年 07月 10日, 22:46

かつて年間60万文字ものメルマガを配信していましたが、最近は年間60万ワードの特許英訳文をひねり出すため、たった年間6千文字のメルマガしか書いておりません。

それでも欠かさず見ているTVドラマといえば……いま放映中のNHK連続テレビ小説『花子とアン』。このドラマには英語学習と翻訳のヒントが隠れていますよ。こぴっと見ろし!(^^)/

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