執筆:福光潤 公開:2005/09/26 コメント(3件) |
邦題
タイムマシーンにお願い
ふりがな
たいむましーんにおねがい
英題
Quantum Leap
発音
くワんとぅんむリーぷ
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意味
Quantum | Leap |
↓ | ↓ |
量子、多量 | 跳躍 |
⇒ 量子の跳躍=タイムスリップ
⇒ 多量の跳躍=大躍進
⇒ 飛訳的な進歩
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1989年~1993年/アメリカ/TVドラマ/SF、タイムスリップ
- 原案・脚本・製作総指揮:ドナルド・P・ベリサリオ(Donald P. Bellisario)
- 出演:スコット・バクラ(Scott Bakula)、ディーン・ストックウェル(Dean Stockwell)
- 第5シーズンまでありますが、日本語版は第2シーズンまで。
- エミー賞4回、ゴールデングローブ賞2回受賞!
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コラム
- 主人公の量子物理学者サム・ベケット(Sam Beckett)が、タイムマシンの実験でしくじってしまい、行き先不明のタイムスリップに巻き込まれ、ホログラムの同僚アル(Al)と二人三脚で奮闘! はたして現時点(1999年)に戻れるのか!
そんなファミリー向けSFドラマです。
1953以降の近い過去が舞台となっていて、アメリカ近代史と各時代の英語が学べます。
たとえば、キング牧師の時代の「黒人」は「nigger」と軽蔑的に呼ばれていますが、主人公が「black」と言っても通じない!
古い英語との差異に注目した脚本ですが、このドラマ製作から15年たった今(※2005年時点)、さらに「black」→「African-American」または「Afro-American」といった表現に変わってきています。
そんなことに気づいたり、翻訳者の苦労を感じたりして、とても面白いTVドラマシリーズでした!
- ということで、そんな『タイムマシーンにお願い』のタイトル英語について見ていきましょう。
まず、「quantum」は物理学用語で「量子(りょうし)」のことです。それが何なのか(興味はあるけど)正直よくワカリマセン…。
※量子力学(quantum mechanics)の概要はコチラ
次に、「jump」と同じ意味の「leap」が「quantum」にくっついて「タイムスリップ」のことだと言われても、やっぱりよく分かりません!
が、こちらについては、今回のタイトル英語で解決できます。
- 「leap」は、「jump」より形式ばった単語です。
英語学習の中級レベルぐらいなら、「leap」といえば次の言葉を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
§名言引用
That's one small step for man,
but one giant leap for mankind.
これはたった1人の小さな1歩にすぎない。
しかし人類全体にとっては大躍進である。(超飛訳:福光潤)
1969年7月20日、月面に降り立ったアームストロング船長の台詞です。
このとき、彼は「for a man(1人の人間にとって)」のつもりで「for man(人類にとって)」と言い間違えてしまいました。
「a」があるのとないのとで、1人と60億人の差が出てしまいます! でも、中継に釘付けの英語ネイティブたちは、ちゃんとメッセージを理解していたそうです。
文法より、ハートが勝つんですね、言葉って。
- 「quantum」は、そもそも「量」を意味する「quantity」と同語源です。さらに辞書には、「quantum」の意味として、名詞の「量子」だけでなく、「画期的な」という形容詞もあります。
なので、アームストロング船長の名言に出てくる「giant leap」に似た表現として、「quantum leap」も「大躍進、大きな飛躍」となることがわかりますね。
この日常会話フレーズ「quantum leap」が物理学用語「quantum(量子)」を含むことに着目し、「タイムスリップ」と解釈し直したのが、SFドラマのタイトル英語『Quantum Leap』!
タイムスリップで別の時代へジャンプすることを特に「leap=リープする」と言えばSFらしく聞こえます。
- ちなみに、邦題『タイムマシーンにお願い』は、サディスティック・ミカ・バンドの楽曲タイトル『タイムマシンにおねがい』(1974年)に似ていますが、表記が微妙に違います。
『タイムマシーンにお願い』は、そんな時代とジャンルを超えた《過去のヒット作あやかり型の邦題》でしたが、残念ながら日本語版制作が第2シーズンで打ち切られてしまい、現在も続きが見られないまま…。
できることなら1989年に戻って、『偶然のタイムトラベラー!?』とかに邦題を変えたら? って言いに行きたい!
そうタイムマシンにお願いしたいものです!
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