執筆:福光潤 公開:2017/07/21 コメント(1件) |
邦題
今夜はビート・イット
ふりがな
こんやはびーといっと
英題
Beat It
発音
ビーデっ
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意味
Beat | It |
↓ | ↓ |
打つ、殴る | それ |
急いで立ち去る、逃げる |
⇒ 逃げろ!
⇒ ずらかるんだ!
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1982年/アメリカ/音楽/ロック、R&B
- 作詞・作曲・歌・演奏:マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)
- ギター:エディ・ヴァン・ヘイレン(Eddie Van Halen)、スティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)、ポール・ジャクソン・ジュニア(Paul Jackson Jr.)
- アルバム『スリラー(Thriller)』(1982年)からの3rdシングル曲。
- 1983年、全米チャート3週連続第1位、全英チャート最高第3位!
- ビルボード誌1983年年間ランキング第5位!
- 第26回グラミー賞の最優秀レコード賞(Record of the Year)と最優秀男性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞(Best Male Rock Vocal Performance)を受賞!
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コラム
- リリース当時、ドーナツ盤レコードの歌詞対訳では、
そんなもの殴り飛ばせ
でした。
それが、CDの歌詞対訳を見ると、
ずらかっちまえよ
と訂正されています。
なんと攻撃から退却へと作戦変更なのか、正反対の解釈です。この歌詞誤訳トリビアを覚えておけば、「beat」の基本的な意味と、イディオム「beat it」の意味が覚えられますよ。
- まず、「beat(ビート)」の基本となる意味は、「何度も打つ」こと。ちなみに、「hit(ヒット)」は、ネライをさだめて1回だけ打つこと。ロックでは、ドラムがズンチャズンチャと拍子を何度も刻みますが、この「拍子」も英語では「beat(ビート)」となります。
『今夜はビート・イット』は8ビート(拍)の曲で、通して数えてみると、8分音符が1000回以上も刻まれていました!
また、「beat +人」で、人をボコボコと殴ることを意味します。実際、歌詞の中にも、この「殴る」という意味が出てきます。
♪歌詞引用
They'll kick you, then they beat you
あいつらに蹴られりどつかれたりするで(飛訳:福光潤)
その「君」に「beat it」と言うわけですが、「そんなもの殴り飛ばせ」と直訳しても、意味不明です。
- 実は、「beat it」というイディオムで、「途中でやめて出ていく、急いで立ち去る、逃げる」という意味の会話フレーズになります。
ミュージックビデオ(MV)では、熱くなってケンカを始めた連中の間に、マイケルが割って入り、
♪歌詞引用
It doesn't matter who's wrong or right
Just beat it
誰が正しくて誰が悪いかなんて、そんなの関係ねぇ!
とにかくずらかるんだ(かつての流行語入り訳:福光潤)
と歌うと、敵どうしが一緒になって踊りだします。ムーンウォークではなく、明らかに後ずさりしているステップや、降参~!というような振り付けなど、ずらかるためのダンスっぽいも見られます。
文として「Beat it.」と言うと、命令文のようですが、「Let's beat it.(ずらかろう)」のような感じで歌われています。
歌詞では、他にも「better run」や「better leave」というフレーズで、「逃げた方がよい」ともアドバイスしています。
- ちなみに、MVのモチーフとなった映画『ウエスト・サイド物語』(1961年)の冒頭でも、似たようなシーンで
Beat it!
という台詞が出てくるのでチェキラ!ここでは、命令文として、相手に対して「失せろ!」と言っています。
- 邦題『今夜はビート・イット』って、80年代POPにありがちな、和洋折衷の字づらで、読む者を攪乱するタイプのタイトル、いわゆる“翻訳放棄”+“雰囲気重視”の邦題ですね。
つい体が踊りだしてしまいそうなビート感は表現できていますが、「無意味な争いはできるだけ避けましょうや」というマイケルらしいメッセージが伝わりません。
そこで、70年代風に、こんな邦題に改題してみてはいかがでしょうか。
全米No.1ヒット曲!
『今夜は逃げるが勝ち』
by マイケル・ジャクソン
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