執筆:加藤由佳 公開:2016/11/13 コメント(1件) |
邦題
谷間の百合
ふりがな
たにまのゆり
英題
The Lily of the Valley
発音
£ぁリりーおv£ぁVェアりー
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意味
The | Lily | of | the | Valley |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
ある特定の | 百合 | ~の | ある特定の | 谷 |
⇒ 谷の百合
⇒ 谷に咲く百合
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1835年/フランス/本/文学、小説、ロマン主義、写実主義、恋愛小説
- 著者:オノレ・ド・バルザック(Honore de Balzac)
- 原題:Le Lys dans la Vallee
- 翻訳者:石井晴一(1973年)、宮崎嶺雄(1994年)
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コラム
- 19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックの小説『The Lily of the Valley(フランス語原題は『Le Lys dans la Vallee』)の邦題は、そのまま『谷間の百合』です。なぜ百合がわざわざ谷間に咲いているのかというと、バルザックが小説の舞台を田園地方に設定したためです。また、この小説で「百合」として表現されているのは、その田園地方に住む幸薄く、清廉潔白で気品ある伯爵夫人の美しさだと言われています。あるいは、主人公の青年フェリックスが彼女に寄せる一途な想いを表わしたものだと分析されることもあります。
- これだけならとても単純なのですが、この『The Lily of the Valley』、英語学習者をドキッと不安にさせかねないものがあります。というのは、英語の「lily of the valley」の訳は「スズラン」として定着しているから。そのため、英題だけ見ていると、小説『谷間の百合』は『鈴蘭』として訳されるべきではないか、などとショックを受けてしまいそうです^^;
とはいえ、英語の「lily of the valley」をそのまま「lys dans la vallee」と訳してみても「スズラン」という意味にはなりません。スズランはフランス語だと「muguet」と呼ばれていますし、また小説『谷間の百合』の表紙に百合の花が描かれることはあっても、スズランが登場することはないようです。
とても複雑ですね^^;
- ちなみに、スズランは日本語では鈴「蘭」、英語では「lily(百合) of the valley」と、ここでも言語間の対立が見られますが、植物学的には「キジカクシ目キジカクシ科スズラン亜科スズラン属」に分類されており、蘭とも百合とも関係はないようです。また、スズランは5月ごろに咲く花であることから、「may lily」と呼ばれることもあります。
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