執筆:福光潤 公開:2005/10/18 コメント(2件) |
邦題
猿の惑星
ふりがな
さるのわくせい
英題
Planet of the Apes
発音
ぷラねっとぅv£ぃエいぷす
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意味
Planet | of | the Apes |
↓ | ↓ | ↓ |
惑星 | ~の | 猿人(たち) |
⇒ 猿人たちの惑星
⇒ 猿人たちが支配する惑星
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1968年/アメリカ/映画/SF、アドベンチャー、パニック
- 監督:フランクリン・J・シャフナー(Franklin J. Schaffner)
- 原作:ピエール・ブール(Pierre Boulle)
- 出演:チャールトン・ヘストン(Charlton Heston)、ロディ・マクドウォール(Roddy McDowall)、キム・ハンター(Kim Hunter)
- 音楽:ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith)
- 第41回アカデミー賞1部門(名誉賞(特殊メイク))受賞!
- 上記映画の原作本(フランス語原題『La Planete De Singes』)
- 上記映画のリ・イマジネーション版(邦題『PLANET OF THE APES/猿の惑星』)
- 2001年/アメリカ/映画/SF
- 監督:ティム・バートン(Tim Burton)
- 原作:ピエール・ブール
- 出演:マーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)、ティム・ロス(Tim Roth)、ヘレナ・ボナム=カーター(Helena Bonham Carter)、ポール・ジアマッティ(Paul Giamatti)、クリス・クリストファーソン(Kris Kristofferson)、チャールトン・ヘストン
- 音楽:ダニー・エルフマン(Danny Elfman)
- 2001年度ゴールデン・ラズベリー賞(Golden Raspberry Awards)(通称、ラジー賞(Razzie Awards))ワースト・リメイク・続編賞(Worst Remake or Sequel)
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コラム
- 西暦3978年。
3人の宇宙飛行士たちは人工冬眠を経て、未知の惑星に不時着した。
そこは、知性を持った猿人たちと、彼らに支配される原始レベルの人間たちが住む惑星だった。
主人公テイラーは、チンパンジーのコーネリアスとジーラに助けられて、この逆転世界からの逃亡をはかるのだが…。
2時間弱の映画ですが、不時着したのが猿人の支配する惑星だと判明するまで、実に30分もじらされます。
しかし、じらし効果もあってか、最初に猿(ゴリラ)の顔が現れる瞬間は何十回見てもドキドキしてしまいます!
そんな1968年版映画は、パニックSF映画の最高傑作!
その後の続編も、タイトル英語を見ておきましょう:
公開年 | 邦題 | 英題 |
1970年 | 続・猿の惑星 | Beneath the Planet of the Apes |
1971年 | 新・猿の惑星 | Escape from the Planet of the Apes |
1972年 | 猿の惑星・征服 | Conquest of the Planet of the Apes |
1973年 | 最後の猿の惑星 | Battle for the Planet of the Apes |
1974年 | 猿の惑星(TVドラマ) | Planet of the Apes |
2001年 | PLANET OF THE APES/猿の惑星 | Planet of the Apes |
2011年 | 猿の惑星:創世記(ジェネシス) | Rise of the Planet of the Apes |
2014年 | 猿の惑星:新世紀(ライジング) | Dawn of the Planet of the Apes |
2017年 | 猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) | War for the Planet of the Apes |
2024年 | 猿の惑星/キングダム | Kingdom of the Planet of the Apes |
- ふつう「猿」といえば「monkey(モンキー)」です。なのに邦題の「猿」は、英題では「ape(エイプ)」となっています。
同じ猿でも、モンキーとエイプは違う猿なのでしょうか?
monkey | 小さくて、尻尾が長い猿 |
ape | 大きくて、尻尾が退化した類人猿 |
なるほど、猿と類人猿とではかなり違いますね。
さらに本作品に登場する「apes」には3種類存在します。
さらに本作品に登場する「apes」には3種類存在します。
チンパンジー | chimp (chimpanzee) |
ゴリラ | gorilla |
オランウータン | orangutan |
主演格の猿、コーネリアス(Cornelius)とジーラ(Zira)は「chimps」です。
タイトル英語で「the」のついた複数形「the apes」となっているのは、数がたくさんいるからだけでなく、上記3種類の「apes」が登場するからなんです。
ちなみに、「ape」の訳は、動物学上は「類人猿」となりますが、SF用語としては「ape=猿人」と言います。
しかし『猿人の惑星』だと『エンジンの惑星』?と誤解されちゃいそうなので、シンプルで語呂のよい『猿の惑星』という邦題に落ち着いたのでしょうね。
タイトル英語で「the」のついた複数形「the apes」となっているのは、数がたくさんいるからだけでなく、上記3種類の「apes」が登場するからなんです。
ちなみに、「ape」の訳は、動物学上は「類人猿」となりますが、SF用語としては「ape=猿人」と言います。
しかし『猿人の惑星』だと『エンジンの惑星』?と誤解されちゃいそうなので、シンプルで語呂のよい『猿の惑星』という邦題に落ち着いたのでしょうね。
- 法廷シーンでこんなひとコマがありました。
主人公のテイラーが「人間は猿から進化した」と言うと、3人の裁判官(猿人)は驚いて、順番に目をふさぎ耳をふさぎ口をふさいで、「see no evil, hear no evil, speak no evil」という諺のごときリアクションをします。
その意味は…、見ざる聞かざる言わざる!
- 1968年版映画の主演=チャールトン・ヘストン!
1974年版TVシリーズの主役の吹き替え=植木等!
2001年版映画の主演=マーク・ウォールバーグ!
選ばれるべくして選ばれた俳優さんたちですね。
(monkey faces...)
- 1968年版映画のTV初放映時に、ラストシーンの吹き替え翻訳が、
みんなくたばっちまえ! 猿どもめが!
という誤訳だった、という逸話を聞いたことがあります。たぶん、この翻訳者さん、忙しかったんでしょうね(笑)。日本語版製作スタッフも、気づかなかったのが不思議です。
初回放映後、日本語訳が差し替えられました。
「猿」→「人間」に。
ちなみに、手元にある古いセルビデオでは
狂人どもめ
という字幕です。
チャールトン・ヘストン演じるテイラーは、苦悩の叫びの後に
My God!
神よ!(そのまま訳:福光潤)
としか言っていませんので、上記字幕「狂人どもめ」でも文字数が多い方でしょう。
しかし吹替というのは、俳優の口が動いている時間だけ日本語の発話を当てることができるので、言葉にならない叫びのシーンでも内容のある台詞をしゃべらせて、情報量を多く伝えることが可能になります。
そういう点においては、初回放映時の翻訳者さんも日本語版製作スタッフも、キリスト教的な発言「My God!」を理解しづらい日本人視聴者のために、直訳を避けたのでしょう。
- ここからはネタバレを含みます ⇒
自由の女神が現れる衝撃のラストは、1968年版のオリジナル案!
2001年版は、「リ・イマジネーション」と銘打ってありますが、実は原作に忠実なだけです(地球に帰ると猿だらけというオチ)。
原作をご存じない映画ファンからは、「とんちの効いたラストは非常に面白い」などと絶賛されていますが、それだけ1968年版が衝撃的なラストを見せてくれたという証拠でしょう。
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この2001版は、映画館で楽しく見ることができたんですが、オリジナルを越えられなかったな、との不満が残りました。
アカデミー賞前日に発表される「ラジー(Razzie)賞」で、「Worst Remake or Sequel」部門に輝いたのも当然かと。
その後、2011年以降のリブート版シリーズ三部作もクオリティーが高くて圧倒されましたが、やはり1968年版を何度も見返したくなるのは変わらずです。
アカデミー賞前日に発表される「ラジー(Razzie)賞」で、「Worst Remake or Sequel」部門に輝いたのも当然かと。
その後、2011年以降のリブート版シリーズ三部作もクオリティーが高くて圧倒されましたが、やはり1968年版を何度も見返したくなるのは変わらずです。
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