執筆:福光潤 公開:2005/12/16 コメント(2件) |
邦題
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
ふりがな
まいらいふあずあどっぐ
英題
My Life as a Dog
発音
マいラいfぁざダー(ぐ)
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意味
My | Life | as | a | Dog |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
私の | 人生 | ~としての;
~のような | 一匹の;
或る | 犬 |
⇒ 一匹の犬としての僕の人生+ある犬のような僕の人生
⇒ (人工衛星スプートニクに乗せられ死んでいったあの不幸なライカ犬よりはましだと思っている)犬のような僕の人生
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1985年/スウェーデン/映画/ヒューマン
- 監督・脚本:ラッセ・ハルストレム(Lasse Hallström)
- 主演:アントン・グランセリウス(Anton Glanzelius)
- 原題『Mitt liv som hund』
- 第60回アカデミー賞2部門(監督賞・脚色賞)ノミネート!
- 上記映画の原作本(邦題:『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』)
- 1983年/スウェーデン/本/小説、自伝
- 著者:レイダル・イェンソン(Reidar Jönsson)
- 翻訳者:木村由利子(1989年)
- 映画邦題の「マイライフ」には中黒「・」がない
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コラム
- スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督は、『ギルバート・グレイプ(What's Eating Gilbert Grape)』(1993年)や『HACHI 約束の犬(Hachi: A Dog's Tale)』(2009年)などで有名なヒューマンドラマの名手です。
そんなハルストレム監督がアカデミー賞に初ノミネートされた本作品『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』では、1950年代のスウェーデンの平凡な田舎を舞台に、主人公イングマル(Ingemar)が過ごす多感な少年期を、一貫して温かくほのぼのとした視点で映しだしています。
- さて、タイトル英語『My Life as a Dog』の前置詞「as」には、2つの意味が考えられます。
1. ~としての(役割、主観)
2. ~のような(類似、客観)
『My Life as a Dog』というタイトルの犬の写真集を見たことありますが、それなら犬の一人称視点なのでズバリ、1番目の意味で「犬としての私の人生」と解釈できます。
しかし、映画の主人公は人間。
そのイングマル少年が人生哲学として次のようなことを言っています。
人工衛星に乗せられたあのライカ犬の運命を思えば、どんなにつらい目(a rough time)にあっても、平気!
つまり、その他大勢側の犬でいられてよかったよなぁと、愛犬シッカンと同じ目線で、イングマル少年が自身をなぐさめているのです。
「僕=犬」という一心同体視点で「あのライカ犬よりは幸せだと考える犬としての僕の人生」を表現しているのが『My Life as a Dog』の1つ目の解釈。
「僕」の視点を「犬」から離せば「あのライカ犬よりは幸せだと考える犬のような僕の人生」という2つ目の解釈となります。
基本的に同じことを言っていますが、視点の違いで和訳が変わってくるのです。
- 一方、文にして考えてみると、前置詞「as」は次のように日本語がわずかに変化します。
1. ~として (役割、主観)
2. ~のように(類似、客観)
たとえば、
I live my life as a dog!
という文を2通りに解釈してみましょう。
1. 僕は、自分の人生を「あのライカ犬よりは幸せだ」と考える犬として生きているんだ!
(自分を犬になぞらえている、観念的)
2. 僕は、自分の人生を「あのライカ犬よりは幸せだ」と考える犬のように生きているんだ!
(あくまで自分は人間、現実的)
実際、映画の中でワンワン!と吠えるイングマル少年が何度か出てくるので、そういった瞬間では1番目の主観的な解釈が、それ以外の場面では2番目の客観的な解釈がしっくりきます。
- ちなみに、1957年にソ連のスプートニク2号(Sputnik 2)に搭乗した犬は、上で「ライカ犬」と書きましたが、犬種としてのライカ犬ではなかったようで、クドリャフカ犬とも雑種とも言われています(政治的な事情で事実が錯綜したまま真実は闇の中)。
いくつかの呼び名のひとつが「ライカ(Laika)」だったとのこと。
ロシア語で「吠え屋さん」という意味だったそうです。
そして打ち上げ数時間後に死亡。
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イングマル君の気持ちがよくわかります……。
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