執筆:加藤由佳 公開:2016/10/30 コメント(1件) |
邦題
ライク・ア・ローリング・ストーン
ふりがな
らいくあろーりんぐすとーん
英題
Like a Rolling Stone
発音
ラいかRォうりん(ぐ)すトうん
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意味
Like | a | Rolling | Stone |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
~のように | 1つの | 転がる | 石 |
1つの転がる石 |
⇒ 転がる石のように
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1965年/アメリカ/音楽/ロック、フォークロック、ことわざ
- 作詞・作曲:ボブ・ディラン(Bob Dylan)
- 歌・演奏:ボブ・ディラン
- アルバム『追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)』からの1stシングル
- 全米チャート最高第1位、全英チャート最高第4位!
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コラム
- 「rolling stone」という表現は、ボブ・ディランのヒット曲のほかにも、
・イギリスのバンド名、ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)、
・ロック雑誌『ローリング・ストーン(Rolling Stone)』、
・マディ・ウォーターズ(Muddy Waters)の楽曲の『ローリン・ストーン(Rollin' Stone)』、
で見かけますよね。しかし、今回はボブ・ディランが2016年度ノーベル文学賞受賞者に決定したということで(本人が受け取るかは不明ですが^^:)、彼の『ライク・ア・ローリング・ストーン(Like a Rolling Stone)』でタイトル英語を組んでいきたいと思います。
- さて、「like a rolling stone」の「like」は、「好きだ」という意味ではなく「~のように」ですね。
今回のタイトル英語で味わい深いのは「rolling stone」という表現です。そのまま訳すると「転がる石」ですが、英語圏では「職業や住む場所を転々と変える人」と解釈されることがほとんど。「何度も恋人を変える人は真の愛を得られない」とされることもあります。
もともとは16世紀ごろのイギリスのことわざで、「何度も仕事を変える人は財を成さない」という意味の「A rolling stone has [gathers] no moss.(転石苔を生さず、転石苔を生ぜず)」に由来しているそうです。
タイトル仙人:その16世紀のことわざも、さらに遡ればローマ時代にいきつくそうやで。タイトル仙人(?千歳)が言うんやから信じてや。紀元前1世紀に数々の名言を残した奴隷出身のアッシリア人劇作家プブリウス・シルスさんが、こんなこと言うてまっせ⇒「Saepius plantata arbor fructum profert exiguum(植物の場所を幾度も変えると実りが少なくなる)」! ええこと言いはりますなぁ( ̄∧ ̄)フムフム。このローマ時代の言葉が時代と地域を越えて転がりつづけて英語「A rolling stone has no moss.」に転じたとか。信じるか信じないかはあなた次第!w
なかなか歴史があるのですね。
- ところがおもしろいことに、「A rolling stone has [gathers] no moss.」はアメリカ英語ではニュアンスがちょっと異なり、「常に新しいものを求めて転地や転職を繰り返す人は精力的だ」という意味になっています。イギリス版(ローマ版も含め)と比べると若干ポジティブですよね。祖国イギリスを去って新境地を求めたという、開拓者精神を持つアメリカ人の性格と、どちらかというと伝統と安定を重んじるイギリス人の性格の対比がよく表れている、と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、ボブ・ディランの詞ではどのように表現されているのかというと・・・
♪歌詞引用
How does it feel, how does it feel?
To be without home
Like a complete unknown, like a rolling stone
いったいどんな気分だい?
落ち着く場所がないというのは
誰にも知られない、転石のような有様は(加藤による試訳)
若干アメリカ版らしいニュアンスを残しつつ、どこか得体の知れなさ・つかみどころのなさを醸し出すボブ・ディラン版と、加藤は解釈したいところです。彼自身が「like a rolling stone(転石のような)」人のように思えます。
- ところで、「A rolling stone has [gathers] no moss(転石苔を生さず)」は歴史あることわざというだけあり、日本の音楽文化にも少し入り込んできています。演歌なら石川さゆりの『転石(作詞:阿久悠)』がありますし、ポップ音楽ならAKB48の『転がる石になれ(作詞:秋元康)』があります。前者なら英国版、後者なら米国版の雰囲気があるなと思います。それぞれで「転石(rolling stone)」のニュアンスが異なり、解釈を楽しめるのが素敵ですね。
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