執筆:福光潤 公開:2017/07/15 コメント(1件) |
邦題
ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン
ふりがな
ごっどせいぶざくいーん
英題
God Save the Queen
発音
ガっ(どぅ)セいv£ぁくウィーん
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意味
God | Save | the | Queen |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
神 | (罪から)救う | その、特定の | 女王 |
⇒ 神よ、女王を救いたまえ
⇒ 救いようのない女王をどないかして!
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1977年/イギリス/音楽/パンク、ロック
- 作詞・作曲:ジョニー・ロットン(Johnny Rotten)、スティーヴ・ジョーンズ(Steve Jones)、グレン・マトロック(Glen Matlock)、ポール・クック(Paul Cook)
- 演奏・歌:セックス・ピストルズ(Sex Pistols)
- 1stアルバム『勝手にしやがれ!!(Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)』(1977年)からの2ndシングル曲
- 全英チャート最高第2位!
- 『ローリング・ストーン』誌オールタイム・グレイテスト・ソング500で175位!
★『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』のMV動画(YouTube)
24秒目等で『God Save the Queen』が発音されます。
★『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』をBBCが確信犯的に流したときの動画(YouTube)
6秒目等で『God Save the Queen』が発音されます。
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コラム
- 1977年のイギリスは、エリザベス2世の即位25周年に湧いていました。その前年には、ロンドンでセックス・ピストルズがデビューし、英国パンク・ロックが産声をあげたばかり。そんなタイミングで、イギリス女王のことを思いっきりボロカスにヤジってアジった歌が、この『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』です。
原題『God Save the Queen』は、イギリス国歌『女王陛下万歳』の原題と同じです。まずは、『女王陛下万歳(God Save the Queen)』のコラム欄で、クリーンなタイトル英語解説をチェックしておいてくださいね。
- ここからは「explicit lyrics(不適切な表現を含む歌詞)」の域に入っていきます。
§冒頭歌詞引用
God save the Queen
The fascist regime
They made you a moron
A potential H-bomb
神さんよ、女王を救ってくれへんか?
あんな独裁者気取り、ようついて行けへんわ
見てみぃ、あいつのせいで国民みんなアホばっかりやん
水爆並みにアブない奴やで、ホンマどないかして(飛訳:福光潤)
こういったアナキズムの叫びが延々と続くため、イギリス公共放送局のBBC等で放送禁止処分となりました。
- 時は流れて2016年、国民投票で欧州連合からのイギリス脱退(EU離脱、Brexit)が決まりました。そこで、保守党議員アンドリュー・ロージンデル(Andrew Rosindell)氏は、BBCに対してこのような要求をしました。EU離脱と女王90歳の誕生日を記念して、BBC放送終了時に国歌『God Save the Queen』を流す伝統を復活させよう、と。
はいはい分かりました、要求にお応えしましょうと、BBCが流したのは、かつて放送禁止にしていたセックス・ピストルズ版『God Save the Queen』。まさにパンクな神対応!
- ちなみに、このピストルズ版『God Save the Queen』では、「save」が「守る」というより「救う」のニュアンスになっています。キリスト教の世界では、
God saves sinners from their sins.
神は罪びとを罪から救う。
という場面がたびたび語られます。つまり、キリスト教的な文脈において「save」が使われると、救われるべき人には罪があって当然ということがほのめかされやすいのです。セックス・ピストルズのボーカル、ジョニー・ロットンが、
自分は決して反キリスト者ではなく、むしろその対極の人間だった。
と述べています。国歌のタイトル英語から罪の含意を想起せずにはいられなかったのかもしれません。
同じ英題『God Save the Queen』であっても、国歌『女王陛下万歳』の方は「私たちの大切な女王様を艱難辛苦からお守りください」という好意的な願掛け。それに対し、ピストルズ版『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』は「罪びと女王の罪を並べたててみせるから、ひとつひとつ許してやってくれや。ほんなことゆうても、まあ救いようないやろけどな。神さん、後はよろしく!」といった反語的な断罪祈願に聞こえてしまいます。聞けば聞くほど。
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