華氏451度

『華氏451度』の英題とその意味は??
執筆:福光潤
公開:2006/02/24
コメント(2件)
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邦題

華氏451度

  • 別表記:華氏四五一度

ふりがな

かしよんひゃくごじゅういちど

英題

Fahrenheit 451

発音

Fァーrぅんいとぅ FォーrFィfてぃ

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意味

Fahrenheit 451
カ氏、華氏~度 451

⇒ カ氏451度
⇒ 紙が自然発火する温度であるカ氏451度(セ氏約233度)
詳しい英語解説は後半のコラムへ

作品

★『華氏451度』のレビュー動画(YouTube)
10秒目等で『Fahrenheit 451』が発音されます。


★1966年映画『華氏451度』の予告編動画(YouTube)
1秒目等で『Fahrenheit 451』が発音されます。

★2018年映画『華氏451度』の予告編動画(YouTube)

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コラム

  • 何気なく英語ニュースの天気予報を聴いていると、今日の日中の気温が「45」とか「85」とか言うので、吃驚!

    そんな経験はありませんか?

    日本で生活していると、なかなか英語で天気予報を聞く機会がありませんよね。

    そこでオススメなのは、AFN(American Forces Network;アメリカ軍放送網、かつてのFEN)!

    AFNウェブサイトのこのページの中央にある各地域のアイコンをクリックすると、実際のラジオ放送がオンラインでも聞けますよ。


    本題に戻ります。

    英語で温度が「45」とか「85」とか言うのは、熱い風呂の温度とか、緑茶の最適温度とかのことではありません。

    温度の単位として「セ氏」ではなく「カ氏」を使っているだけ!


    換算式は、こうなります。

    セ氏度(℃)=(カ氏度-32)÷1.8

    カ氏度(°F)=1.8×セ氏度+32

    (0℃=32°F;100℃=212°F)


    換算例で実際の対応状況をつかんでおきましょう。

    カ氏45度≒セ氏7度
    (冬場にありがたく感じる気温)

    カ氏85度≒セ氏29度
    (近年、夏に涼しく感じる気温)

    カ氏451度≒セ氏233度
    (紙が自然にハッカする温度)

    カ氏911度≒セ氏488度
    (神が自然にカッカする温度 ⇒ 自由が燃える温度)

    最後の例は、マイケル・ムーア監督『華氏911Fahrenheit 9/11)』(2004年)のタイトルを説明したものとなります。

    ムーアはブラッドベリ作品『華氏451度』にリスペクトを表してタイトルをもじったつもりですが、ブラッドベリはこの無断改変にカッカしたそうです!


  • さて、「消防士」を英語で言えますか?

    上の世代の方は「fireman」を思い浮かべるかもしませんが、1980年代に性差別回避のためのPC(political correctness)表現が考案されて、現在は「firefighter(直訳:火と戦う人)」が浸透しています。

    本作『華氏451度』が出版された1953年時点では、単に「火の人」という意味の「fireman」が一般的に「消防士」を指していました。


    この『華氏451度』には、徹底的な焚書が行われている未来社会が描かれています。

    主人公ガイ・モンターグGuy Montag)は、「firemanファイアマン焚書官昇火士焼火士)」として、書物を焼く職業に就いています。

    現実世界で当然「火を消す人」として認識されている「fireman」を、真逆の「火を点ける人」として描くところが、子供のような着眼点を持ったブラッドベリらしくて面白いですね。


    ということで、本作『華氏451度』の日英タイトルは、どちらも紙の自然発火温度を指します。

    カ氏451度≒セ氏233度
    (紙が自然に発火する温度)


    例文:
    Paper burns at Fahrenheit 451 without doing anything.

    カ氏451度になると、何もしなくても紙が燃えます。


    燃~えろよ、燃えろ~よ~♪

    と、キャンプファイアで歌うときに、『華氏451度Fahrenheit 451』を思い出してください。

    あと、正月のとんど焼き(どんど焼き)でも思い出してしまいます。

    そんなときは、『華氏451度Fahrenheit 451』と、つぶやきましょう。


  • ちなみに、「華氏」とは人名で、「ファーレンハイト氏Mr. Gabriel Daniel Fahrenheit」のこと。

    ドイツの物理学者で、カ氏目盛りFahrenheit scale)を考案!


    少し遅れて、スウェーデンの天文学者「セルシウス氏Mr. Anders Celsius」が登場し、セ氏目盛りCelsius scale)を考案!


    彼らの日本語名の略記は、それぞれの中国音訳からきています。

    ドイツの「ファーレンハイト」
    →「華倫海」→「華氏」 or 「カ氏」

    スウェーデンの「セルシウス」
    →「摂爾思」→「摂氏」 or 「セ氏」


    最近はカタカナ表記の方が一般的ですが、両者の間で事情が異なります。

    「セ氏」の「セ」は、「セルシウス」の「セ」。

    一方、「カ氏」の「カ」は、「華氏」の「カ」。

    ん?

    足並みが揃っていなくて少しヘンですね。


    せっかくカタカナ表記するなら、中国音訳を忘れましょうよ!

    ファーレンハイトさんなら「ファ氏」ですよ、「ファ氏」!

    ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ氏!

    『ファ氏451度』

    『ファ氏911』

       ・

       ・

       ・

    ヘンですね。

    定着した言葉には勝てません…。


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ヒラメキ例文

Paper burns at Fahrenheit 451 without doing anything.

カ氏451度になると、何もしなくても、紙が燃えます。

英題発音へ 視聴ヘルプ 発音ヘルプ



参考外部サイト

※禁断の英文法怪説 by 福光 ⇒

固有名詞+数詞
人名である「Fahrenheit」は、温度単位の華氏を意味するが、通常は形容詞として後置し、「451°F = 451 degrees Fahrenheit」のように読み書きする。

※文法アレルギーの方の目に付かぬよう、コソコソ解説しています(^^;)



コメント(2件)

福光潤 — 2006年 02月 24日, 18:00

鎖国をしていなければ、温度目盛の伝来ルートが異なり、今ごろ私たちは「ファ氏」と言っているんでしょうか?
過去が変われば、未来はどう変わるのか。
そんなテーマの作品がお好みの方は、ブラッドベリの『雷のとどろくような声(A Sound of Thunder)』(1962年)をどうぞ。

福光潤 — 2021年 05月 30日, 22:50

2021年6月に4回シリーズで放送される、『華氏451度』を読み解くNHK『100分 de 名著』に合わせて、当ページのコラムを増量してみました!

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