執筆:福光潤 公開:2006/02/24 コメント(2件) |
邦題
華氏451度
- 別表記:華氏四五一度
ふりがな
かしよんひゃくごじゅういちど
英題
Fahrenheit 451
発音
Fァーrぅんハいとぅ FォーrFィfてぃワん
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意味
Fahrenheit | 451 |
↓ | ↓ |
カ氏、華氏~度 | 451 |
⇒ カ氏451度
⇒ 紙が自然発火する温度であるカ氏451度(セ氏約233度)
⇒ 詳しい英語解説は後半のコラムへ
作品
- 1953年/アメリカ/本/小説、SF、ディストピア、近未来、焚書
- 著者:レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)
- 翻訳者:南井慶二(1956年)、宇野利泰(1964年)、伊藤典夫(2014年)
- 上記作品の映画化(邦題:『華氏451』)
- 上記作品の映画化(邦題:『華氏451』)
- 本作を基にタイトルがつけられた映画作品:『華氏911(Fahrenheit 9/11)』
- 2004年/アメリカ/映画/ドキュメンタリー
- 監督・製作・脚本・出演:マイケル・ムーア(Michael Moore)
- 出演:ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)
★『華氏451度』のレビュー動画(YouTube)
10秒目等で『Fahrenheit 451』が発音されます。
★1966年映画『華氏451度』の予告編動画(YouTube)
1秒目等で『Fahrenheit 451』が発音されます。
★2018年映画『華氏451度』の予告編動画(YouTube)
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コラム
- 何気なく英語ニュースの天気予報を聴いていると、今日の日中の気温が「45」とか「85」とか言うので、吃驚!
そんな経験はありませんか?
日本で生活していると、なかなか英語で天気予報を聞く機会がありませんよね。
そこでオススメなのは、AFN(American Forces Network;アメリカ軍放送網、かつてのFEN)!
AFNウェブサイトのこのページの中央にある各地域のアイコンをクリックすると、実際のラジオ放送がオンラインでも聞けますよ。
本題に戻ります。
英語で温度が「45」とか「85」とか言うのは、熱い風呂の温度とか、緑茶の最適温度とかのことではありません。
温度の単位として「セ氏」ではなく「カ氏」を使っているだけ!
換算式は、こうなります。
セ氏度(℃)=(カ氏度-32)÷1.8
カ氏度(°F)=1.8×セ氏度+32
(0℃=32°F;100℃=212°F)
換算例で実際の対応状況をつかんでおきましょう。
カ氏45度≒セ氏7度
(冬場にありがたく感じる気温)
カ氏85度≒セ氏29度
(近年、夏に涼しく感じる気温)
カ氏451度≒セ氏233度
(紙が自然にハッカする温度)
カ氏911度≒セ氏488度
(神が自然にカッカする温度 ⇒ 自由が燃える温度)
最後の例は、マイケル・ムーア監督『華氏911(Fahrenheit 9/11)』(2004年)のタイトルを説明したものとなります。
ムーアはブラッドベリ作品『華氏451度』にリスペクトを表してタイトルをもじったつもりですが、ブラッドベリはこの無断改変にカッカしたそうです!
- さて、「消防士」を英語で言えますか?
上の世代の方は「fireman」を思い浮かべるかもしませんが、1980年代に性差別回避のためのPC(political correctness)表現が考案されて、現在は「firefighter(直訳:火と戦う人)」が浸透しています。
本作『華氏451度』が出版された1953年時点では、単に「火の人」という意味の「fireman」が一般的に「消防士」を指していました。
この『華氏451度』には、徹底的な焚書が行われている未来社会が描かれています。
主人公ガイ・モンターグ(Guy Montag)は、「fireman = ファイアマン(焚書官、昇火士、焼火士)」として、書物を焼く職業に就いています。
現実世界で当然「火を消す人」として認識されている「fireman」を、真逆の「火を点ける人」として描くところが、子供のような着眼点を持ったブラッドベリらしくて面白いですね。
ということで、本作『華氏451度』の日英タイトルは、どちらも紙の自然発火温度を指します。
カ氏451度≒セ氏233度
(紙が自然に発火する温度)
例文:
Paper burns at Fahrenheit 451 without doing anything.
カ氏451度になると、何もしなくても紙が燃えます。
燃~えろよ、燃えろ~よ~♪
と、キャンプファイアで歌うときに、『華氏451度 = Fahrenheit 451』を思い出してください。
あと、正月のとんど焼き(どんど焼き)でも思い出してしまいます。
そんなときは、『華氏451度 = Fahrenheit 451』と、つぶやきましょう。
- ちなみに、「華氏」とは人名で、「ファーレンハイト氏 = Mr. Gabriel Daniel Fahrenheit」のこと。
ドイツの物理学者で、カ氏目盛り(Fahrenheit scale)を考案!
少し遅れて、スウェーデンの天文学者「セルシウス氏 = Mr. Anders Celsius」が登場し、セ氏目盛り(Celsius scale)を考案!
彼らの日本語名の略記は、それぞれの中国音訳からきています。
ドイツの「ファーレンハイト」
→「華倫海」→「華氏」 or 「カ氏」
スウェーデンの「セルシウス」
→「摂爾思」→「摂氏」 or 「セ氏」
最近はカタカナ表記の方が一般的ですが、両者の間で事情が異なります。
「セ氏」の「セ」は、「セルシウス」の「セ」。
一方、「カ氏」の「カ」は、「華氏」の「カ」。
ん?
足並みが揃っていなくて少しヘンですね。
せっかくカタカナ表記するなら、中国音訳を忘れましょうよ!
ファーレンハイトさんなら「ファ氏」ですよ、「ファ氏」!
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ氏!
『ファ氏451度』
『ファ氏911』
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ヘンですね。
定着した言葉には勝てません…。
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