| 執筆者:福光潤 作成日:2008/10/21 コメント(1件) |
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[No] [Longer] [Human]
↓ ↓ ↓
ない これより長く 人間である
│ │ │
└┬―┘ │
↓ │
もはや~ない │
│ │
└┬―――――――┘
↓
⇒ もはや人間ではない
作品
1948年/日本/本/小説、独白、犯罪、病気
著者:太宰治(Osamu Dazai)
翻訳者:ドナルド・キーン(Donald Keene;1958年)
コラム
⇒ このタイトル英語には、重要フレーズが入っています!
「no longer」=「もはや~ない」
はい、こんどのテストに出るから赤線~!
と、いくら学校のセンセに教えてもらっても、
わかりません、覚えられません、使えません!
という方、たくさんいらっしゃると思います。
だいいち、「もはや~ない」という意味自体、
ひとことでスパッと言い切っていないところ、
いさぎよくないというか、中途半端というか、
「~」に何がくるか予測不能で、不安を煽り、
最終的な和訳はセンスにかかっていそうだし、
もはや付き合ってられましぇ~ん!って感じ。
⇒ フクミツも日本語で育ったので、
「no なんちゃら」系の表現は、
正直、いまだにニガテなんです。
ここで英語表現のことは忘れて、
こんな事実を思い出しましょう!
◆ そもそも日本語の否定って、
ありえなくまどろっこしい!
兵庫県教育委員会によれば、
県下の各小学校において、算数の時間に、
ルービックキューブの6面解法を教える
ということは、行っていないようである。
という例文は、わざとらしくて申し訳ないですが(笑)、
最後の最後に「~ない」という言葉がくるだけで、
いままで積み上げてきた情報ブロックの塔が瓦解!
そんな噂があったのか?
他県では教えているのか?
中高生には教えているのか?
算数以外の時間に教えているのか?
6面でなく1面までなら教えているのか?
スネークキューブ(古っ!)なら教えているのか?
こんな疑問が同時多発的に暴発しますが、
そこをグッとこらえ、胸中に秘めるのが、
我々日本語ネイティブスピーカーの宿命!
たぶん自分が知らない時事情報のせいで、
この文に違和感を抱いてるんだろうなぁ、
と、自己犠牲の本能が働いちゃうのかも!
そこで、日本語の否定界における救世主!
「もはや」がさっそうと登場することで、
その文が「~ない」でおわることを約束!
兵庫県教育委員会によれば、もはや、
県下の各小学校において、算数の時間に、
ルービックキューブの6面解法を教える
ということは、行っていないようである。
読み手がどうあがいても、2行目からは、
否定的なエンディングを覚悟してしまう!
そして、今回知った否定的な現状よりも、
これまでそんな教育してたの? マジで?
という過去の事実への驚きを禁じえない!
それほどに、「もはや」の登場は衝撃的!
否定界の救世主には、何種類かあります。
「もはや」は病院における聖職者タイプ!
映画などで末期症状の患者さんの病室に、
牧師さん( or 神父さん、お坊さん)が、
顔を出すだけで、アカン、もう終わりや!
と、患者は、生の否定=死の宣告を覚悟。
文のはじめの方に出てくる「もはや」は、
これまで継続していたことにケリをつけ、
もう終わっている状態を認めさせる標識。
⇒ さてと、英語にもどりましょう!
“否定界の救世主”などと大げさに考えなくても、
英語では、否定フレーズが前方にあって当たり前!
最後まで読まなきゃという“まどろっこしさ”は、
英文ではあまり考えられません。
According to 兵庫県教育委員会,
県下の各小学校 no longer teaches
how to solve a ルービックキューブ in 算数の時間.
早い段階で、「どんな教育が廃止されたのか?」
と、後半の読み方を決められるのでスッキリ!
そして、そんなもん教えてたの?とビックリ!
⇒ 「longer」の部分は、「long」+「-er」です。
This yam is not longer than that yam.
この長芋は、あの長芋ほど長くない。
のように、「-er」には「than 基準」がつきもの。
その基準“より”上か下か、大か小か、前か後か。
「no longer」についても、=「もはや~ない」
と訳語を覚えるよりも、基準時点にフォーカス!
上に出てきた日本語「もはや」の意味合い:
これまで継続していたことにケリをつけ、
もう終わっている状態を認めさせる標識。
の中の、「ケリ」がついた時点が基準です。
「もはや、その基準より前の状態ではない」
という未練を残した感傷的な文を作るのが、「no longer」!
⇒ もはや長芋どころじゃないほど長いコラムですが、
ようやくタイトル英語にもどると、こうなります。
No Longer Human
もはや人間ではない
先頭に「I am」をおぎなって文にすると、
最後に廃人同然となった主人公“自分”の独白となります。
I am no longer human.
自分は、もはや人間ではない。
いくら本人がそう悟っても、以前は人間だったが…、
という文である以上、やっぱり未練を残す表現です。
じゃ、どの時点から人間ではなくなったのだろうか?
少年性的虐待、アル中、心中未遂、モルヒネ中毒、精神疾患。
いや、そういう表面的な出来事ではなく、もっと違う次元に、
人間でなくなるきっかけがありそうかも…。
などと、読書中にも想像をかきたてるべく、
ドナルド・キーンさんが狙った意訳型英題。
それが『No Longer Human』でした!
⇒ ちなみに、邦題『人間失格』の直訳
(a literal translation of the Japanese title)として、
ペーパーバック裏表紙には、こう書いてあります。
"disqualified from being human"
これも、アタマに「I am 」を追加すると、文になります。
I am disqualified from being human.
人間であるという資格を剥奪されています。
→ 自分は人間失格です。
そうすると、人間失格にいたるストーリーではなく、
紛争地域を舞台にした人権問題を扱う社会派小説か、
アンドロイド狩りの近未来SFっぽくなりそうです。
オマエ、それなぁ、人間として失格やで、ホンマにもう(^^;)
のように、日本語会話で「失格」という単語は、
大げさながらも、おどけた感じで使えますよね。
でも、英会話で「disqualified」という単語は、
大げさかつ全面否定的なイメージで厳しいかも!
そんな英日間の語感バランスも考慮してみると、
たしかに「no longer」の方が、ピッタリです。
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ヒラメキ例文
You're no longer an English learner. You're an "English user" from today on!
あなたはもう英語学習者ではありません。今日から“英語ユーザー”です!
参考外部サイト
※禁断の英文法怪説 by 福光 ⇒
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