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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊タイトル英語 2021/05/30 第995号 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 451度とは何の温度? ………………………………………………… 【邦題】 華氏451度 *別表記:華氏四五一度 【英題】 Fahrenheit 451 【発音】 発音+例文を、音声でどうぞ!→ https://title-eigo.com/Database/Fahrenheit451#Hatsuon
【意味】 カ氏451度 紙が自然発火する温度である カ氏451度(セ氏約233度) 【作品】 1953年/アメリカ/本/ 小説、SF、ディストピア、近未来、焚書 著者:レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury) 翻訳者:南井慶二(1956年)、 宇野利泰(1964年)、伊藤典夫(2014年) 上記作品の映画化(邦題:『華氏451』) *1966年/イギリス・フランス/映画/SF *監督:フランソワ・トリュフォー *出演:オスカー・ウェルナー、 ジュリー・クリスティ 上記作品の映画化(邦題:『華氏451』) *2018年/アメリカ/映画/SF *監督:ラミン・バーラニ *出演:マイケル・B・ジョーダン、 マイケル・シャノン、ソフィア・ブテラ ★ レビュー動画や映画予告編を見る?→ https://title-eigo.com/Database/Fahrenheit451#WatchIt
10秒目等で英題が発音されます。 【コラム】 *何気なく英語ニュースの天気予報を 聴いていると、今日の日中の気温が 「45」とか「85」とか言うので、吃驚! そんな経験はありませんか? 日本で生活していると、なかなか英語で 天気予報を聞く機会がありませんよね。 そこでオススメなのは、AFN (American Forces Network; アメリカ軍放送網、かつてのFEN)! 下記ページの中央にある 各地域のアイコンをクリックすると、 実際のラジオ放送が オンラインでも聞けますよ。 → https://www.afnpacific.net/AFN-360/ 本題に戻ります。 英語で温度が「45」とか「85」とか言うのは、 熱い風呂の温度とか、緑茶の最適温度とか のことではありません。 温度の単位として「セ氏」ではなく 「カ氏」を使っているだけ! 換算式は、こうなります。 セ氏度(℃)=(カ氏度-32)÷1.8 カ氏度(°F)=1.8×セ氏度+32 (0℃=32°F;100℃=212°F) 換算例で実際の対応状況を つかんでおきましょう。 カ氏45度≒セ氏7度 (冬場にありがたく感じる気温) カ氏85度≒セ氏29度 (近年、夏に涼しく感じる気温) カ氏451度≒セ氏233度 (紙が自然にハッカする温度) カ氏911度≒セ氏488度 (神が自然にカッカする温度 ⇒ 自由が燃える温度) 最後の例は、マイケル・ムーア監督 『華氏911(Fahrenheit 9/11)』(2004年) のタイトルを説明したものとなります。 ムーアはブラッドベリ作品『華氏451度』に リスペクトを表してタイトルを もじったつもりですが、ブラッドベリは この無断改変にカッカしたそうです! *さて、「消防士」を英語で言えますか? 上の世代の方は「fireman」を 思い浮かべるかもしませんが、 1980年代に性差別回避のための PC(political correctness)表現 が考案されて、現在は 「firefighter(直訳:火と戦う人)」 が浸透しています。 本作『華氏451度』が出版された1953年時点では、 単に「火の人」という意味の「fireman」が 一般的に「消防士」を指していました。 この『華氏451度』には、徹底的な焚書が 行われている未来社会が描かれています。 主人公ガイ・モンターグ(Guy Montag)は、 「fireman = ファイアマン (焚書官、昇火士、焼火士)」として、 書物を焼く職業に就いています。 現実世界で当然「火を消す人」として 認識されている「fireman」を、 真逆の「火を点ける人」として描くところが、 子供のような着眼点を持った ブラッドベリらしくて面白いですね。 ということで、 本作『華氏451度』の日英タイトルは、 どちらも紙の自然発火温度を指します。 カ氏451度≒セ氏233度 (紙が自然に発火する温度) 例文: Paper burns at Fahrenheit 451 without doing anything. カ氏451度になると、何もしなくても紙が燃えます。 燃~えろよ、燃えろ~よ~♪ と、キャンプファイアで歌うときに、 『華氏451度 = Fahrenheit 451』 を思い出してください。 あと、正月のとんど焼き(どんど焼き) でも思い出してしまいます。 そんなときは、 『華氏451度 = Fahrenheit 451』 と、つぶやきましょう。 *ちなみに、「華氏」とは人名で、 「ファーレンハイト氏 = Mr. Gabriel Daniel Fahrenheit」のこと。 ドイツの物理学者で、 カ氏目盛り(Fahrenheit scale)を考案! 少し遅れて、スウェーデンの天文学者 「セルシウス氏 = Mr. Anders Celsius」が 登場し、セ氏目盛り(Celsius scale)を考案! 彼らの日本語名の略記は、 それぞれの中国音訳からきています。 ドイツの「ファーレンハイト」 →「華倫海」→「華氏」 or 「カ氏」 スウェーデンの「セルシウス」 →「摂爾思」→「摂氏」 or 「セ氏」 最近はカタカナ表記の方が一般的ですが、 両者の間で事情が異なります。 「セ氏」の「セ」は、「セルシウス」の「セ」。 一方、「カ氏」の「カ」は、「華氏」の「カ」。 ん? 足並みが揃っていなくて少しヘンですね。 せっかくカタカナ表記するなら、 中国音訳を忘れましょうよ! ファーレンハイトさんなら 「ファ氏」ですよ、「ファ氏」! ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ氏! 『ファ氏451度』 『ファ氏911』 ・ ・ ・ ヘンですね。 定着した言葉には勝てません…。…詳しくは専用ページをお読みください♪
【ひとこと】 近未来SFとはいえ、古代では中国の秦で 焚書坑儒が行われ、前世紀では ナチス・ドイツの焚書が記憶に新しいので、 対岸の火事のようには思えない 慧眼の名作だと思います。 2021年6月に4回シリーズで放送される、 『華氏451度』を読み解く NHK『100分 de 名著』に合わせて、 タイトル英語を配信してみました! (福光潤)
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★“タイトル英語”~ 映画・音楽・本などの英語タイトルと日本語タイトルをくらべて、手軽に楽しく英語学習! 現役翻訳者・福光潤(英検1級&TOEIC 955点)と加藤由佳のタイトル英語イスト師弟がトリビアをまじえて英語解説。発音も♪ 福光著書:『翻訳者はウソをつく!』(青春新書)/共著『今日から英語でTwitter つぶやき英語表現ハンドブック』(語研) | |||||
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