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日刊タイトル英語 第993号 マイライフ・アズ・ア・ドッグ

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週刊タイトル英語  2021/05/16 第993号
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 「as」としての「as」のような意味は?
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【邦題】

マイライフ・アズ・ア・ドッグ



【英題】

My Life as a Dog



【発音】

発音+例文を、音声でどうぞ!
https://title-eigo.com/Database/MyLifeAsADog#Hatsuon



【意味】

一匹の犬としての僕の人生
+ある犬のような僕の人生

(人工衛星スプートニクに乗せられ
死んでいったあの不幸なライカ犬よりは
ましだと思っている)犬のような僕の人生



【作品】

1985年/スウェーデン/映画/ヒューマン
監督・脚本:ラッセ・ハルストレム
主演:アントン・グランセリウス
原題『Mitt liv som hund』
第60回アカデミー賞2部門
 (監督賞・脚色賞)ノミネート!

上記映画の原作本
(邦題:『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』)
 1983年/スウェーデン/本/小説、自伝
 著者:レイダル・イェンソン
 翻訳者:木村由利子(1989年)

映画邦題の「マイライフ」には中黒「・」がない

★ 予告編動画を見る?
https://title-eigo.com/Database/MyLifeAsADog#WatchIt



【コラム】

*スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督は、
『ギルバート・グレイプ(What's Eating Gilbert Grape)』(1993年)や
『HACHI 約束の犬(Hachi: A Dog's Tale)』(2009年)
などで有名なヒューマンドラマの名手です。

そんなハルストレム監督が
アカデミー賞に初ノミネートされた本作品
『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』では、
1950年代のスウェーデンの平凡な田舎を舞台に、
主人公イングマルが過ごす多感な少年期を、
一貫して温かくほのぼのとした視点で
映しだしています。



*さて、タイトル英語『My Life as a Dog』の
前置詞「as」には、2つの意味が考えられます。

 1. ~としての(役割、主観)
 2. ~のような(類似、客観)

『My Life as a Dog』というタイトルの
犬の写真集を見たことありますが、
それなら犬の一人称視点なのでズバリ、
1番目の意味で「犬としての私の人生」
と解釈できます。

しかし、映画の主人公は人間。

そのイングマル少年が人生哲学として
次のようなことを言っています。

> 人工衛星に乗せられた
> あのライカ犬の運命を思えば、
> どんなにつらい目にあっても、平気!

つまり、その他大勢側の犬で
いられてよかったよなぁと、
愛犬シッカンと同じ目線で、
イングマル少年が自身を
なぐさめているのです。

「僕=犬」という一心同体視点で
「あのライカ犬よりは幸せだと
 考える犬としての僕の人生」
を表現しているのが
『My Life as a Dog』
の1つ目の解釈。

「僕」の視点を「犬」から離せば
「あのライカ犬よりは幸せだと
 考える犬のような僕の人生」
という2つ目の解釈となります。

基本的に同じことを言っていますが、
視点の違いで和訳が変わってくるのです。



*一方、文にして考えてみると、
前置詞「as」は次のように
日本語がわずかに変化します。

 1. ~として (役割、主観)
 2. ~のように(類似、客観)

たとえば、

 I live my life as a dog!

という文を2通りに解釈してみましょう。

 1. 僕は、自分の人生を
 「あのライカ犬よりは幸せだ」と
   考える犬として生きているんだ!
  (自分を犬になぞらえている、観念的)

 2. 僕は、自分の人生を
  「あのライカ犬よりは幸せだ」と
   考える犬のように生きているんだ!
  (あくまで自分は人間、現実的)

実際、映画の中でワンワン!と吠える
イングマル少年が何度か出てくるので、
そういった瞬間では1番目の主観的な解釈が、
それ以外の場面では2番目の客観的な解釈が
しっくりきます。



*ちなみに、1957年にソ連の
スプートニク2号に搭乗した犬は、
上で「ライカ犬」と書きましたが、
犬種としてのライカ犬ではなかったようで、
クドリャフカ犬とも雑種とも言われています
(政治的な事情で事実が錯綜したまま真実は闇の中)。

いくつかの呼び名のひとつが
「ライカ(Laika)」だったとのこと。

ロシア語で「吠え屋さん」
という意味だったそうです。

そして打ち上げ数時間後に死亡。

   ・
   ・
   ・

イングマル君の気持ちがよくわかります……。


…詳しくは専用ページをお読みください♪



【ひとこと】

三省堂の高校英語教科書
『CROWN English Communication III』
のLesson 1に、松尾芭蕉に関する
説明文が掲載されています。

タイトルは『Life as a Journey』。

ネットで検索してみると、
10ページにわたる本文については
和訳や英語学習事項が見つかるのですが、
このタイトルをきちんと説明している
ページがなかなか見つかりません。

娘の明日の中間テストに出る
範囲なのですが、ノートには

「Life as a Journey = 旅としての人生」

とメモられています。

今回のタイトル英語をあてはめることで、
もうひとつの解釈

「Life as a Journey = 旅のような人生」

もいけそうです。

芭蕉の『奥の細道』冒頭部にあるように、

> 日々旅にして旅を栖(すみか)とす

ですからね。

               (福光潤)



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