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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日刊タイトル英語 2019/10/20 第934号 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 猿はサルでもモンキーじゃない猿 ………………………………………………… 【邦題】 猿の惑星 【英題】 Planet of the Apes 【発音】 発音+例文を、音声でどうぞ!→ https://title-eigo.com/Database/PlanetOfTheApes#Hatsuon
【意味】 猿人たちの惑星 猿人たちが支配する惑星 【作品】 1968年/アメリカ/映画/ SF、アドベンチャー、パニック 監督:フランクリン・J・シャフナー 原作:ピエール・ブール 出演:チャールトン・ヘストン、 ロディ・マクドウォール、キム・ハンター 音楽:ジェリー・ゴールドスミス 第41回アカデミー賞1部門(名誉賞(特殊メイク))受賞! *上記映画の原作本 (フランス語原題『La Planete De Singes』) 1963年/フランス/SF小説/ピエール・ブール著 ブールは第二次世界大戦で日本軍の捕虜に なったことがあり、同じく映画で有名な 『戦場にかける橋』もブールの小説が原作 *上記映画のリ・イマジネーション版 2001年/アメリカ/映画/SF 邦題『PLANET OF THE APES/猿の惑星』 監督:ティム・バートン Tim Burton 原作:ピエール・ブール Pierre Boulle 出演:マーク・ウォールバーグ、 ティム・ロス、ヘレナ・ボナム=カーター 音楽:ダニー・エルフマン 2001年度ゴールデン・ラズベリー賞 ワースト・リメイク・続編賞 ★ 予告編動画を見る?→ https://title-eigo.com/Database/PlanetOfTheApes#WatchIt
17秒目で英題が発音されます。 【コラム】 *西暦3978年。 3人の宇宙飛行士たちは人工冬眠を経て、 未知の惑星に不時着した。 そこは、知性を持った猿人たちと、 彼らに支配される原始レベルの 人間たちが住む惑星だった。 主人公テイラーは、チンパンジーの コーネリアスとジーラに助けられて、 この逆転世界からの逃亡をはかるのだが…。 2時間弱の映画ですが、不時着したのが 猿人の支配する惑星だと判明するまで、 実に30分もじらされます。 しかし、じらし効果もあってか、 最初に猿(ゴリラ)の顔が現れる瞬間は 何十回見てもドキドキしてしまいます! そんな1968年版映画は、 パニックSF映画の最高傑作! その後の続編も、 タイトル英語を見ておきましょう: 1970年『続・猿の惑星』 =Beneath the Planet of the Apes 1971年『新・猿の惑星』 =Escape from the Planet of the Apes 1972年『猿の惑星・征服』 =Conquest of the Planet of the Apes 1973年『最後の猿の惑星』 =Battle for the Planet of the Apes 1974年(TVドラマ)『猿の惑星』 =Planet of the Apes 2001年『PLANET OF THE APES/猿の惑星』 =Planet of the Apes 2011年『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』 =Rise of the Planet of the Apes 2014年『猿の惑星:新世紀(ライジング)』 =Dawn of the Planet of the Apes 2017年『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』 =War for the Planet of the Apes *ふつう「猿」といえば 「monkey(モンキー)」です。 なのに邦題の「猿」は、英題では 「ape(エイプ)」となっています。 同じ猿でも、 モンキーとエイプは 違う猿なのでしょうか? ・monkey:小さくて、尻尾が長い猿 ・ape:大きくて、尻尾が退化した類人猿 なるほど、 猿と類人猿とではかなり違いますね。 さらに本作品に登場する 「apes」には3種類存在します。 ・チンパンジー=chimp (chimpanzee) ・ゴリラ=gorilla ・オランウータン=orangutan 主演格の猿、コーネリアス(Cornelius) とジーラ(Zira)は「chimps」です。 タイトル英語で「the」のついた 複数形「the apes」となっているのは、 数がたくさんいるからだけでなく、 上記3種類の「apes」が登場するからなんです。 ちなみに、「ape」の訳は、 動物学上は「類人猿」となりますが、 SF用語としては「ape=猿人」と言います。 しかし『猿人の惑星』だと『エンジンの惑星』? と誤解されちゃいそうなので、 シンプルで語呂のよい『猿の惑星』 という邦題に落ち着いたのでしょうね。 *法廷シーンでこんなひとコマがありました。 主人公のテイラーが「人間は猿から進化した」 と言うと、3人の裁判官(猿人)は驚いて、 順番に目をふさぎ耳をふさぎ口をふさいで、 「see no evil, hear no evil, speak no evil」 という諺のごときリアクションをします。 その意味は…、 見ざる聞かざる言わざる! *1968年版映画の主演=チャールトン・ヘストン! 1974年版TVシリーズの主役の吹き替え=植木等! 2001年版映画の主演=マーク・ウォールバーグ! 選ばれるべくして選ばれた俳優さんたちですね。 (monkey faces...) *1968年版映画のTV初放映時に、 ラストシーンの吹き替え翻訳が、 「みんなくたばっちまえ! 猿どもめが!」 という誤訳だった、 という逸話を聞いたことがあります。 たぶん、この翻訳者さん、 忙しかったんでしょうね(笑)。 日本語版製作スタッフも、 気づかなかったのが不思議です。 初回放映後、日本語訳が差し替えられました。 「猿」→「人間」に。 ちなみに、手元にある古いセルビデオでは 「狂人どもめ」という字幕です。 チャールトン・ヘストン演じるテイラーは、 苦悩の叫びの後に「My God!(神よ!)」 としか言っていませんので、上記字幕 「狂人どもめ」でも文字数が多い方でしょう。 しかし吹替というのは、 俳優の口が動いている時間だけ 日本語の発話を当てることができるので、 言葉にならない叫びのシーンでも 内容のある台詞をしゃべらせて、 情報量を多く伝えることが可能になります。 そういう点においては、初回放映時の 翻訳者さんも日本語版製作スタッフも、 キリスト教的な発言「My God!」を 理解しづらい日本人視聴者のために、 直訳を避けたのでしょう。 *ここから3段落はネタバレを含みます。 映画をご覧になった方のみ、[[Database/PlanetOfTheApes | 専用ページ]]で 「表示」ボタンを押してお読みください♪ ・ ・ ・ この2001版は、映画館で 楽しく見ることができたんですが、 オリジナルを越えられなかったな、 との不満が残りました。 アカデミー賞前日に発表される 「ラジー(Razzie)賞」で、 「Worst Remake or Sequel」部門 に輝いたのも当然かと。 その後、2011年以降のリブート版 シリーズ三部作もクオリティーが高くて 圧倒されましたが、やはり1968年版を 何度も見返したくなるのは変わらずです。…詳しくは専用ページをお読みください♪
【ひとこと】 高校時代、毎月本を2冊読んで京大式カードに 読書記録を書いて提出する課題がありました。 新潮文庫の『宝島』で記録文を書いたときは、 赤ペンで大きく「小学生並み!」と書かれて 返ってきたので(笑)、本書でリベンジ! 当時1980年代には『猿の惑星』の原作本が 入手困難でしたが、早川書房さんから古茶け た文庫本を取り寄せて読むことができました。 ラストに仰天したので、これはイケル! と思い、渾身の『猿の惑星』感想文を提出 したのに「中学生レベル!」という評価…。 その後、やっと『砂の惑星』で 「これは許せる」 という好評価を頂戴しました(^^;。 (福光潤)
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