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日刊タイトル英語 第732号 人間失格+否定界の救世主+長芋

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 ─☆─ ┃人┃┃間┃┃失┃┃格┃┃英┃┃語┃ ─☆─
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     こんにちは!

     タイトル英語イストの福光です♪

     今日のメルマガも長くて墨ませんべい!



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日刊タイトル英語        2008/10/21(火)第732号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥*
 自分は、○年◇月△日以降、人間じゃなくなりました!?
………………………………………………………………………


【邦題】人間失格



【英題】No Longer Human



【発音】
    ▼ ▼     ▼
    ノうローんぐrヒューむん

    (▼を強く、小文字・平仮名は適当に読む)
    (「r」は舌を巻く)

  ★ 福光の発音+ヒラメキ例文を、音声でどうぞ!
     └→ https://title-eigo.com/Database/NoLongerHuman#Hatsuon

  ★ ポッドキャスト版(音声ブログ)は、こちら!
     └→ http://www.voiceblog.jp/title-eigo/



【意味】

    [No] [Longer]   [Human]
     ↓  ↓      ↓
     ない これより長く 人間である
     │  │      │
     └┬―┘      │
      ↓        │
      もはや~ない   │
      │        │
      └┬―――――――┘
       ↓

  ⇒ もはや人間ではない



【作品】

    1948年/日本/本/小説、独白、犯罪、病気
    著者:太宰治(Osamu Dazai)
    翻訳:ドナルド・キーン(Donald Keene;1958年)

  ★ 関連ビデオを見る?
     └→ https://title-eigo.com/Database/NoLongerHuman#WatchIt



【コラム】

  ⇒ このタイトル英語には、重要フレーズが入っています!


     「no longer」=「もはや~ない」

     はい、こんどのテストに出るから赤線~!


    と、いくら学校のセンセに教えてもらっても、

    わかりません、覚えられません、使えません!

    という方、たくさんいらっしゃると思います。


    だいいち、「もはや~ない」という意味自体、

    ひとことでスパッと言い切っていないところ、

    いさぎよくないというか、中途半端というか、

    「~」に何がくるか予測不能で、不安を煽り、

    最終的な和訳はセンスにかかっていそうだし、

    もはや付き合ってられましぇ~ん!って感じ。



  ⇒ フクミツも日本語で育ったので、

    「no なんちゃら」系の表現は、

    正直、いまだにニガテなんです。


    ここで英語表現のことは忘れて、

    こんな事実を思い出しましょう!


    ◆ そもそも日本語の否定って、

      ありえなくまどろっこしい!


    例:兵庫県教育委員会によれば、

      県下の各小学校において、算数の時間に、

      ルービックキューブの6面解法を教える

      ということは、行っていないようである。
                 ^^^^

    という例文は、わざとらしくて申し訳ないですが(笑)、

    最後の最後に「~ない」という言葉がくるだけで、

    いままで積み上げてきた情報ブロックの塔が瓦解!


    そんな噂があったのか?

    他県では教えているのか?

    中高生には教えているのか?

    算数以外の時間に教えているのか?

    6面でなく1面までなら教えているのか?

    スネークキューブ(古っ!)なら教えているのか?


    こんな疑問が同時多発的に暴発しますが、

    そこをグッとこらえ、胸中に秘めるのが、

    我々日本語ネイティブスピーカーの宿命!


    たぶん自分が知らない時事情報のせいで、

    この文に違和感を抱いてるんだろうなぁ、

    と、自己犠牲の本能が働いちゃうのかも!


    そこで、日本語の否定界における救世主!

    「もはや」がさっそうと登場することで、

    その文が「~ない」でおわることを約束!


    例:兵庫県教育委員会によれば、もはや、
                   ^^^^^^
      県下の各小学校において、算数の時間に、

      ルービックキューブの6面解法を教える

      ということは、行っていないようである。
                 ^^^^

    読み手がどうあがいても、2行目からは、

    否定的なエンディングを覚悟してしまう!

    そして、今回知った否定的な現状よりも、

    これまでそんな教育してたの? マジで?

    という過去の事実への驚きを禁じえない!


    それほどに、「もはや」の登場は衝撃的!


    否定界の救世主には、何種類かあります。

    「もはや」は病院における聖職者タイプ!


    映画などで末期症状の患者さんの病室に、

    牧師さん( or 神父さん、お坊さん)が、

    顔を出すだけで、アカン、もう終わりや!

    と、患者は、生の否定=死の宣告を覚悟。


    文のはじめの方に出てくる「もはや」は、

    これまで継続していたことにケリをつけ、

    もう終わっている状態を認めさせる標識。



  ⇒ さてと、英語にもどりましょう!


    “否定界の救世主”などと大げさに考えなくても、

    英語では、否定フレーズが前方にあって当たり前!

    最後まで読まなきゃという“まどろっこしさ”は、

    英文ではあまり考えられません。


    例:According to 兵庫県教育委員会,

      県下の各小学校 no longer teaches
              ^^^^^^^^^
      how to solve a ルービックキューブ in 算数の時間.


    早い段階で、「どんな教育が廃止されたのか?」

    と、後半の読み方を決められるのでスッキリ!

    そして、そんなもん教えてたの?とビックリ!



  ⇒ 「longer」の部分は、「long」+「-er」です。


    例:This yam is not longer than that yam.
              ^^^^^^^^^^^
      この長芋は、あの長芋ほど長くない。


    のように、「-er」には「than 基準」がつきもの。

    その基準“より”上か下か、大か小か、前か後か。


    「no longer」についても、=「もはや~ない」

    と訳語を覚えるよりも、基準時点にフォーカス!


    上に出てきた日本語「もはや」の意味合い:

    > これまで継続していたことにケリをつけ、

    > もう終わっている状態を認めさせる標識。

    の中の、「ケリ」がついた時点が基準です。


    「もはや、その基準より前の状態ではない」

    という未練を残した感傷的な文を作るのが、「no longer」!



  ⇒ もはや長芋どころじゃないほど長いコラムですが、

    ようやくタイトル英語にもどると、こうなります。


     No Longer Human
     ^^^^^^^^^
     もはや人間ではない
     ^^^^^^    ^^^^

    先頭に「I am」をおぎなって文にすると、

    最後に廃人同然となった主人公“自分”の独白となります。


     I am no longer human.

     自分は、もはや人間ではない。


    いくら本人がそう悟っても、以前は人間だったが…、

    という文である以上、やっぱり未練を残す表現です。


    じゃ、どの時点から人間ではなくなったのだろうか?

    少年性的虐待、アル中、心中未遂、モルヒネ中毒、精神疾患。

    いや、そういう表面的な出来事ではなく、もっと違う次元に、

    人間でなくなるきっかけがありそうかも…。


    などと、読書中にも想像をかきたてるべく、

    ドナルド・キーンさんが狙った意訳型英題。

    それが『No Longer Human』でした!



  ⇒ ちなみに、邦題『人間失格』の直訳

    (a literal translation of the Japanese title)として、

    ペーパーバック裏表紙には、こう書いてあります。


     > "disqualified from being human"


    これも、アタマに「I am 」を追加すると、文になります。


     I am disqualified from being human.

     人間であるという資格を剥奪されています。

       → 自分は人間失格です。


    そうすると、人間失格にいたるストーリーではなく、

    紛争地域を舞台にした人権問題を扱う社会派小説か、

    アンドロイド狩りの近未来SFっぽくなりそうです。


     > オマエ、それなぁ、人間として失格やで、ホンマにもう(^^;)


    のように、日本語会話で「失格」という単語は、

    大げさながらも、おどけた感じで使えますよね。


    でも、英会話で「disqualified」という単語は、

    大げさかつ全面否定的なイメージで厳しいかも!


    そんな英日間の語感バランスも考慮してみると、

    たしかに「no longer」の方が、ピッタリです。



【ひとこと】

    兵庫県教育委員会の報道ちっくな例文は、

    フィクションですので、調べないように(笑)。


    でも、昨日の『生まれて墨ませんべい』は、実在します。
               ↓
    http://news.ameba.jp/economy/2008/10/18865_image.html

                (太宰治の似顔絵イラスト入り)


    いつも、翻訳者はウソをつくってワケじゃありません!(^^ゞ

    ついでに、トルストイと太宰治の関係トリビアも実在!

    『翻訳者はウソをつく!』のP.41下から7行目~P.42!
        │
        └→ http://eigo.in/Hon


    本日のタイトル英語は、専用ページで詳しく復習できます♪



         (昔のお気に入りページを開くと、

          "This page no longer exists."
                ^^^^^^^^^
          悲しいとき…、わびしいとき…。

          「このページは存在しません」

          という翻訳文に、「もはや」が、

          もはや存在しないと気づくのも、

          悲しいとき…、わびしいとき…。

           。。。秋ってそういう季節?)



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