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日刊タイトル英語 2005/05/09(月)第232号 ……………………………………………………………………… こんにちは、福光です! 以前にも書きましたが、「3」という数字には魅力があります。 「2」や「4」より、「3」の方が、人を動かす力があります。 今日の作品のように、アメリカ全土、果ては世界中が動きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥* 日刊タイトル英語 2005/05/09(月)第232号 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥* 【邦題】ペイ・フォワード 可能の王国 【英題】Pay It Forward V v V (←V強く、v弱く) 【発音】ペいイっフォrをrどぅ (「r」は舌を巻く) ★ 福光の発音と、ヒラメキ例文を、音声でどうぞ! └→ http://eigo.jf-world.com/links_0505.html#232 【意味】[Pay] [It] [Forward] ↓ ↓ ↓ 与える、渡す それを 次の人に ⇒ それ(=親切)を、次の(=親切を受けた人とは別の)人に与える 【作品】2000年/アメリカ映画/ヒューマン・ドラマ、ロマンス 出演:ケヴィン・スペイシー(Kevin Spacey) ハーレイ・ジョエル・オスメント(Haley Joel Osment) ヘレン・ハント(Helen Hunt) ジョン・ボン・ジョヴィ(Jon Bon Jovi) 原作:小説『Pay It Forward(ペイ・フォワード[可能の王国])』 1999年/キャサリン・ライアン・ハイド(Catherine Ryan Hyde)著 法村 里絵 訳 ★ 今日のタイトル作品に関する情報は… └→ http://eigo.jf-world.com/links_0505.html#232 ★ 公式サイト→ http://payitforward.warnerbros.com/ └→ 画面下の「PAY IT FORWARD」をクリックすると、 この行いの仕組みが、簡単な英語で説明されます。 【知識】 ⇒ 原作小説の出版前に、すでにワーナーが映画化を決めていました。 2000年12月に日本語訳が出版され、2001年2月に映画が日本公開。 なので、小説と映画で、邦題が統一されていたんだと思いますが、 なぜ、「It」が省略されたのか? なぜ、「可能の王国」なのか? 関係者のみぞ知る! ですが、疑問を抱いたまま、考えていこう。 ⇒ まず、「It」がないと、英語として、意味が成り立たないんです。 でも、「It」が邦題から省略されたのは、たぶん語呂の問題です。 『ペイ・イット・フォワード』も、『レット・イット・ビー』も、 似たようなもんだろうけど、「ペイ・イット」が言いにくいねぇ。 ^^^^^^ いっそ、「イット」を抜いちゃえっと! そんな経緯で抜かれたのかと(想像)。 ⇒ 「pay」の意味は、代金や、代償や、敬意などを「払う」ことです。 超簡単! 超楽勝! では、今日のタイトルは、どーゆー意味? 某人気メルマガ(最下部参照)でお馴染みの、翻訳サイトく~ん! 「Pay It Forward」を、訳してくださ~い! ◆翻訳サイトの結果訳文 → それを前方に支払ってください。 やはり、日本語になっていないですね~、翻訳サイト君…。 フォローする言葉も出てこない…。 ⇒ では、気をとりなおして、今日のタイトルの真実に迫ります! 12歳のトレバー(Trevor)君が、社会科の授業で思いついた、 善行のチェーンメールみたいな呼びかけのことを指していて、 親切を受けたら、それに対する報いを、その相手に返さずに、 別の3人に渡し、その3人も、それぞれ別の3人に渡すこと。 §ペーパーバック裏表紙の文章より引用: Twelve-year-old Trevor McKinney began [to change the world for the better] by doing something good for three people. ^^^^^^^^^^^^^^ But instead of paying him back, he asked them to "pay it ^^^^^^^^^^^^^^^ ^^^^^^ forward" by doing a favor for three more people, ^^^^^^^ ^^^^^^^ who in turn would help three others, and so on, each act a link in a chain of human kindness. 「pay」が使われている2つの表現だけで要約すると、 ^^^ 「paying him back」の代わりに、「pay it forward」せよ! ^^^ ^^^ まず、「paying him back」の「him」は「親切をくれた人」で、 ^^^ 『ランダムハウス英語辞典』の4番目の定義をあてはめてると、 「親切な行いをしてくれた人に対して報いること」となります。 ^^^^^^ 「pay 人 back for 事」=「人がしてくれた事に対して報いる」 ^^^ ^^^^^^ ここでは、「paying him back for the "something good"」です。 ^^^ 2つ目の表現は、タイトルの「pay it forward」です。 ^^^ 「it」は、「something good」=「a favor」=「親切な行為」。 「forward」は、上の翻訳サイト君の言うとおり、「前方へ」。 時間的・空間的な前方であり、「次の代へ」という感じです。 ネットワークビジネスだと、ピラミッド型なので、 「下の代へ(downward)」となりそうですが、 ここでは、今日受けた親切を、明日別の人へ渡すわけです。 「明日」が時間的な前方、「別の人へ」が空間的な前方。 ちなみに、Eメール転送の動作は、「forward」1語で表せます。 なので、ここの「pay」は、「報いる」ではなく、単に「与える」。 ^^^ ^^^^^^ Aさんから受けた恩に対して、Bさんに報いるのは、変ですよね。 『ランダムハウス英語辞典』の5番目の定義にあてはまります。 「pay honor to 人(敬意を人に払う)」のタイプです。 まとめると、Aさんに報いる代わりに、B・C・Dさんに親切を! うまく連鎖すると、すぐに世界の人々へ、親切の輪が広がります! ⇒ 「pay it forward」は、この作品で作られた表現でありながらも、 「pay」と「forward」の正しい語感を持っているネイティブなら、 パッと聞いて理解できる表現なんですが、日本人には難しすぎる! でも、この映画を理解することで、このタイトルが理解できます。 うだうだと解説したのは、理解の過程を見てほしかったからです。 ⇒ 原作者は、「Pay It Forward」運動の非営利財団を設立しました。 ★ 「Pay It Forward Foundation」公式サイト └→ http://www.payitforwardfoundation.org/ 【ひとこと】 昨日の【次号予告】で、「Pay ** Forward」の「**」は何? と質問しましたが、見事正解された方がいらっしゃいます! > "It"ですよね。It="変化するためのチャンス"なのかと、 > 機内で見て泣いた覚えがあります。 > 解説を楽しみにしています。 T.M.さん、大正解~~! しかも、「It」の解釈まで加えてくださって、感動! 「"chance to change"というベタな解釈」と補足がありましたが、 まさに、「変化するためのチャンスを、次の代へ渡す」ことです! これで、なぜ「可能の王国」なのか? という疑問も解けますね。 (「可能」は、英語で「chance」です) 【次号予告】 平和にチャンスを与えると、平和が可能になります! ^^^^^^ ジョン・レノン、『平和を我等に(**** Peace a Chance)』!本日のタイトル英語は、専用ページで詳しく復習できます♪
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★“タイトル英語”~ 映画・音楽・本などの英語タイトルと日本語タイトルをくらべて、手軽に楽しく英語学習! 現役翻訳者・福光潤(英検1級&TOEIC 955点)と加藤由佳のタイトル英語イスト師弟がトリビアをまじえて英語解説。発音も♪ 福光著書:『翻訳者はウソをつく!』(青春新書)/共著『今日から英語でTwitter つぶやき英語表現ハンドブック』(語研) | |||||
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