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日刊タイトル英語 第874号 女王陛下万歳

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 こんにちは、タイトル英語イストの加藤です♪

 今回ご紹介のタイトル英語は、

 イギリス国歌の『God Save the Queen』!

 一瞬ドキッとする文体に潜む、格調高い謎を解いていきます!



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥*
日刊タイトル英語        2017/07/16(日)第874号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥*
         Mayちゃんのかくれんぼ
………………………………………………………………………


【邦題】女王陛下万歳



【英題】God Save the Queen



【発音】
        ▼     ▼      ▼
    (英国)ゴっ(どぅ)セいv£ぁくウィーん

    (▼を強く、平仮名は適当に読む)
    (「v」は、上の前歯を下唇の内側に当てて、震わせながら「ヴ」)
    (「£ぁ」は、舌が上の歯の裏1mm上空で、「ざ」と「だ」の間)

  ★ 発音+例文を、音声でどうぞ!
     └→ https://title-eigo.com/Database/GodSaveTheQueen#Hatsuon



【意味】

    [God] [Save] [the]     [Queen]
     ↓   ↓   ↓       ↓
     神   守る  その、特定の  女王

  ⇒ 神よ、女王を守りたまえ

  ⇒ 女王陛下万歳



【作品】

    1740年/イギリス/音楽/国歌、クラシック
    作詞:ヘンリー・ケアリー(Henry Carey)
    作曲:不明

  ★ 歌詞つき動画を見る?
     └→ https://title-eigo.com/Database/GodSaveTheQueen#WatchIt
        ※1分目等で英題が発音されます。



【コラム】

  ⇒ いかにも国歌らしい堂々としたメロディーが魅力的な『女王陛下万歳』。

    イギリスだけでなくニュージーランドやジャージー島、ガーンジー島、

    ノーフォーク島でも歌われるなど、広く愛唱されている歌と言えるかも

    しれません(ちなみにニュージーランドには独自の国歌がありますが、

    第1番は英語ではなくマオリ語で歌うのだとか)。



  ⇒ さて、その『女王陛下万歳』の英題である『God Save the Queen』

    には、英語学習者をドキッと、またはニヤッとさせるところがあります。

     ┌──────────────────┐
     │『God Saves the Queen 』で、    │
     │     ^             │
     │『神は我らが女王を救う』じゃないの?│
     └──────────────────┘

    と、心の声が聞こえてきそうです。

    普通に読んだら、「God」は3人称単数であるという理由から、

    「Save」のところが「Saves」になるはずだから。
                ^

    しかし、「God Save the Queen」は間違った英文などでは

    決してありません。あの偉大なるイギリスの国歌ですもの、

    タイトルからして間違えるなんてことはありえないわけです。

    でも、それでは、どうして「Saves」ではなく

    「Save」になっているのでしょう?


    ヒントは、「God Save the Queen」の先頭で

    かくれんぼしているあの助動詞にあり!


    そのかくれんぼ中の助動詞とは、

    「may」です。


    そう、「God Save the Queen」は本来ならば、

    「May God Save the Queen」となるはずなのです。
     ^^^
    助動詞である「may」をつけているので、

    動詞の「save」も活用なしの原形のままとなっています。



  ⇒ また、ここで新たな疑問が生じますよね。

    なぜ「may」が動詞「save」の直前ではなく文頭に来ているのか、

    という疑問です。疑問文でもないのに、助動詞が一番先に来るなんて

    おかしいじゃないかと思ってしまいそうですよね。


    しかし、ここにもれっきとした理由があります。

    「may」は、「~かもしれない」という可能性や
                      ^^^^^^
    「~してもよい」という許可を表す助動詞として知られていますが、
               ^^^^
    「~でありますように」という祈願の意味も持っているのです。
                  ^^^^

    有名な例文を挙げるなら、映画『スター・ウォーズ』の名台詞


    §台詞引用
     ┌─────────────┐
     │May the force be with you.│
     │             │
     │フォースと共にあらんことを│
     └─────────────┘

    があります。

    Be動詞がそのまま原形になっているわかりやすい例でしょう。


    そのため、「God Save the Queen」の意味も

    「神が女王を守ってくれる」ではなく、

    「神よ、女王を守りたまえ」が正解。

    つまり、『女王陛下万歳』を歌っているイギリス人は

    神様が女王を守ってくれると信じて歌っているのではなく、

    「どうか神様が私たちの女王を守ってくださりますように」

    とお祈りしながら歌っているというわけです。

    ちなみに、『女王陛下万歳』を

    女王(または国王)が歌うことはないのだとか。



  ⇒ そのほか、祈願文として助動詞の「may」が省略されるケースとして、

     ┌───────────┐
     │God save America.   │
     │           │
     │アメリカに神の恵みあれ│
     └───────────┘

     ┌────────────────┐
     │God bless you.         │
     │                │
     │あなたに神の加護がありますように│
     └────────────────┘

    などもあります。


    いずれにせよ、英語らしい格調の高さが感じられる表現と

    言えそうです。なにかの折にさっと言えたら格好いいかも。



【ひとこと】

    『女王陛下万歳(God Save the Queen)』の面白いのは、

    国王が男性か女性かでタイトルと歌詞が変わるところ。

    男性が国王のときは『(国王陛下万歳(God Save the King)』

    になり、文中の「her」はすべて「him」(目的格)、

    「his」(所有格)に変わります。


    ちなみにロックバンドのクイーンがライブなどで

    同曲を演奏するとき、「her」が「them」(目的格)、

    「their」(所有格)になります。クイーンは

    4人バンドだからというのがその理由だそうです。

                               (加藤)


    本日のタイトル英語は、専用ページで詳しく復習できます♪



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★“タイトル英語”~ 映画・音楽・本などの英語タイトルと日本語タイトルをくらべて、手軽に楽しく英語学習! 現役翻訳者・福光潤英検1級TOEIC 955点)と加藤由佳のタイトル英語イスト師弟がトリビアをまじえて英語解説。発音も♪ 福光著書:『翻訳者はウソをつく!』(青春新書)/共著『今日から英語でTwitter つぶやき英語表現ハンドブック』(語研)

発行周期 毎週日曜夕方
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