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日刊タイトル英語 第848号 神曲

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 こんにちは、タイトル英語イストの加藤です♪

 今回のタイトル英語はダンテの『神曲』、

 そのタイトルの秘密に迫っていきます。



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日刊タイトル英語        2016/06/26(日)第848号
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     『神曲』ってコメディなの? まさか!
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【邦題】神曲



【英題】The Divine Comedy



【発音】
         ▼   ▼
    £ぁでぃVァいんカむでぃ

    (▼を強く、平仮名は適当に読む)
    (「£ぁ」は、舌が上の歯の裏1mm上空で、「ざ」と「だ」の間)
    (「Vァ」は上の前歯を下唇の内側に当てて、震わせながら「ヴァ」)

  ★ 発音+例文を、音声でどうぞ!
     └→ https://title-eigo.com/Database/TheDivineComedy#Hatsuon

  ★ ポッドキャスト版は、こちら!
     └→ http://www.voiceblog.jp/title-eigo/



【意味】

    [The]    [Divine]  [Comedy]
     ↓      ↓     ↓
     ある特定の  神聖な   喜劇、コメディ

  ⇒ 神聖な喜劇

  ⇒ 神聖喜劇

  ⇒ 神曲



【作品】

    14世紀/イタリア/本/
     ルネサンス、古典、詩、叙事詩、韻文、キリスト教、喜劇、文学
    著者:ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)
    ラテン語原題:La Divina Commedia
    翻訳:中山昌樹(1917年)、山内丙三郎(1922年)、
     生田長江(1929年)、竹友藻風(1948年)、野上素一(1962年)、
     平川祐弘(1966年)、三浦逸雄(1972年)、寿岳文章(1976年)

  ★ オーディオブック動画を見る?
     └→ https://title-eigo.com/Database/TheDivineComedy#WatchIt
        ※18秒目等で英題が発音されます。



【コラム】

  ⇒ ダンテの『神曲』の英題

    『The Divine Comedy』(原題はラテン語で『La Divina Commedia』)

    を初めて見たときの衝撃は非常に強烈なものでした。

    だって、『神曲』ってどこからどう読んでみても

    全く「comedy」らしくないのですもの!

    「comedy」は戯曲の悲劇と対しての「喜劇」や「コメディ」、

    もっと親しみやすくすると「お笑い」的な意味合いのある言葉ですが、

    もしかしたら他にも意味があるのではないかと

    調べてしまったほどでした。


    でもやっぱり、どんなに調べてみても「comedy」は

    喜劇やコメディを指す言葉。

    英和辞書や英英辞典で「comedy」を引いても、

    国語辞典で「喜劇」を探しても、

    ラテン語の「commedia」について調べてみても、

    「喜劇、コメディ」という意味は変わりません。


    しかもダンテ本人は「神聖な」と意味する

    「Divina(英語ではDivine)」を省いた

    『Commedia(英語ではComedy)』と題をつけていました。

    「Divina」は、15世紀から16世紀ごろ、

    ダンテ本人ではない誰かによってつけられたとのことです。

    これでは神聖な『神曲』が真性の「コメディ」になってしまいます。

    主人公のダンテが永遠の淑女ベアトリーチェに導かれ地獄、煉獄、

    そして天国を旅するという、「神聖(divine)」ではあっても

    絶対に「comedy」ではない内容を考えると、やっぱり意外です。

    どう考えてみても「コメディ」というよりは

    巡礼物語に近いと思うのですが・・・。



  ⇒ と思っていたところに、なんとダンテ本人からのヒントを発見。

    なんでも、ダンテは同作品を喜劇扱いした理由を2つ挙げています。


    1つは過酷な地獄や煉獄を探検したダンテが

    最後には天上界に到達するということ。

    いわゆるハッピーエンドだからだそうです。

    たしかに、当時ローマ=カトリックの世界だけを信仰していた人々に

    とっては、天国に行きつくという設定はまさにめでたい喜劇、

    たとえ「神聖(divine)」ではあれど「comedy」ですよね。


    またもう1つの理由としては、『La Divina Commedia』が

    14世紀当時学術や芸術に用いられたラテン語ではなく、

    イタリア・トスカーナ地方の方言トスカーナ語で書かれたから

    という点があります。

    ダンテ自身も「女性や子供にも簡単に読めるように書いたから

    『commedia』なのだ」と述べています。

    このトスカーナ語で執筆したという特徴は、

    ラテン語が絶対的であったこの時代では非常に斬新であり、

    後々になってもルネサンスの先駆け的存在として捉えられています

    (お話・・・といっても韻文詩の内容は

    いたって中世的だと思うけれど・・・)。



  ⇒ それにしても『La Divina Commedia(The Divine Comedy)』を

    『神曲』と和訳するのにもセンスがありますよね。

    もし「Divina(Divine)」がつかずに

    『Commedia(Comedy)』のままだったら

    邦訳はどうなっていたのでしょう。

    まさか、『曲』?


    ダンテ『神曲』が初期ルネサンス作品というので、

    加藤がなぜか張り切ってルネサンス風画像を制作しました^^
     └→ https://title-eigo.com/Media/TheDivineComedy



【ひとこと】

    たしか『神曲』の『天国編』には「天国の音楽」なるものが登場、

    「地上のどんな音楽も雑音に聞こえるほどのすばらしさ」

    とあったような。

    「どんなに美しい音楽なのだろう」

    とついつい聞きたくなってしまいました。

                               (加藤)


    本日のタイトル英語は、専用ページで詳しく復習できます♪



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★“タイトル英語”~ 映画・音楽・本などの英語タイトルと日本語タイトルをくらべて、手軽に楽しく英語学習! 現役翻訳者・福光潤英検1級TOEIC 955点)と加藤由佳のタイトル英語イスト師弟がトリビアをまじえて英語解説。発音も♪ 福光著書:『翻訳者はウソをつく!』(青春新書)/共著『今日から英語でTwitter つぶやき英語表現ハンドブック』(語研)

発行周期 毎週日曜夕方
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